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第6話 開かれた禁忌
ついに御札が破れ、禁忌が解かれます。
その音は次第に強まり、やがて扉の御札が一枚、また一枚と剥がれ落ちていった。
悠真は止めようと叫んだ。
「触るな! 剥がれたら何が出てくるか…!」
だが遅かった。
美咲が意図せず掴んでしまった御札が破れ、扉が軋むように開いてしまった。
中には、黒い櫛が安置されていた。
だがそれは櫛というより、何かの骨を削って形作ったような異様な質感だった。
影が櫛から溢れ、室内を埋め尽くす。
耳に届くのは、無数の囁き声。
「……髪をよこせ……」
「……女の髪を……」
美咲の髪がふわりと宙に浮き、影に引かれた。
彼女は悲鳴を上げて倒れ込む。
悠真は必死に彼女を抱き寄せた。
榊原教授が声を張り上げる。
「櫛を封じ直さねば、全員持っていかれるぞ!」
怪異が本格的に動き出しました。
次回、囁きの正体が見えてきます。