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第5話 封じの間
拝殿の奥、禁忌の間に近づきます。
拝殿の奥へ進むと、狭い廊下の先に小さな部屋があった。
木の扉には無数の御札が貼られ、墨は掠れているが「封」「禁」の文字が読み取れる。
榊原教授が息を呑んだ。
「……ここだ。御神体を封じた間だ」
悠真は足がすくんだが、視線は自然と扉に引き寄せられた。
御札の間から、細い黒い髪が垂れ下がっている。
美咲が震える声を上げる。
「……これ、人の髪じゃない?」
川村の測定器は狂ったように針を振らせ、警告音を鳴らした。
木下は青ざめ、後ずさる。
「開けたらあかん! ここは村の爺さんも絶対に近づくなって言ってたんや!」
だが、扉の内側から「コン…コン…」と、まるで誰かが叩くような音が響いた。
御札が貼られた扉の奥には何が眠るのか。
次回、禁忌が開かれます。