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第3話 すすり泣く森
夜になり、森からすすり泣きが聞こえてきます。
夜が訪れると、拝殿の周囲に冷たい風が吹き込んできた。
美咲は耳を澄ませ、震える声で言った。
「……泣いてる、声が聞こえる」
すすり泣きは森の奥から広がり、やがて五人の周囲を取り囲むように響いた。
悠真は恐怖を押し殺し、御札を見つめた。紙片がひとりでに震え、淡い光を放つ。
榊原教授は震える手で古文書を開き、声を荒げる。
「……やはりここは、祟り神を封じた社だ!」
川村は測定器の針が狂ったように振れるのを見て、顔を蒼白にした。
「……これ、異常すぎる。何かが近づいてる」
木下は目を閉じ、低く呟いた。
「子どもの頃から聞いてた声や。泣いてるんじゃない。呼んでるんや…」
その瞬間、拝殿の奥から木が裂けるような音が響いた。
声の正体はまだわかりません。
ここからさらに恐怖が深まっていきます。