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第9話 封じの代償
櫛を手に、最後の封じを試みます。
影は暴れ狂い、拝殿を崩壊させようとしていた。
悠真は決意を固め、櫛を両手で掴んだ。
指先に冷たい痛みが走り、血が滲む。
女の影がすぐ目の前に迫り、顔のない頭をこちらに寄せる。
「……返せ……髪を……命を……」
榊原教授が声を張る。
「悠真、祓詞を唱えろ! 古文書の最後の一文を!」
悠真は必死に記憶を呼び起こし、声を振り絞った。
「――御身を櫛に宿し、再び眠りにつかせん!」
美咲の髪が一気に引かれ、櫛へ吸い込まれた。
同時に影の女の姿が掻き消え、櫛の中へと戻っていった。
しかし、その場には冷たい沈黙と、美咲の気を失った姿だけが残った。
代償を伴う封印。
最終話へ続きます。




