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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
1巻第3話

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騎士道を歩む者として守るべき矜持がある

「ヒューマギオン教は確かに憎い、腸が煮えくり返るほど頭にきている! ……だが戦う意志がない者を殺すのはダメだ! 俺達には誇りと信念がある! 騎士道を歩む者として守るべき矜持がある! 腹が立つから殺す何ていうのは、そこら辺の野獣と変わらん! あんたは野獣になるのが夢じゃないだろう! 思い出せ!」


 ロラン公の言葉に、アレクシアの身体が反応したのがわかる。動きが硬くなった。心を揺さぶられたのがわかる。


「初めて会った時、あんた言ってただろう、可愛いお嫁さんになるって! トニーさんと、はにかみながら、そんな夢を語ってくれたじゃないか!」


 そんな事を言っていたのか。とても幸せなワンシーン。簡単に想像できる。


「アレクシア様! 今怒りに身を任せて憎悪と殺意を振りまいて、その夢から遠ざかっています、冷静になってください!」


「うるさい! 離して!」


 アレクシアが一際大きく、羽根を羽ばたかせた。なんとかしがみついてはいたが、浮き上がったのがわかる。下に視線をやると、やはり少し浮き上がっていた。こうなると踏ん張りが効かず、止められない。


 「アレクシアさん!」


 「アレクシア様!」


 私とロラン公の声が、重なる。しかし、アレクシアはもう一度羽根を羽ばたかせた。一気に加速をするかと思いきや、ガクッと何かに引っかかるように加速が止まり、その勢いで上方向に振り回される。


「なによ!」


 声を上げたアレクシア。その視線の方向に目をやると、足にしがみついているキリュナがいる。


「間に合った!」


 飛び上がるアレクシアをキリュナが掴んで止めたのだ。戦えないとはいえ、パワーは鬼人族の物。ドラゴニュートを止める事が出来るのだ。


「もう、なんなのよ! みんなして!」


 怒りというか、もう呆れた声をしているアレクシア。もしかしたら、もう怒りは収まっているかもしれない。振り上げた拳を、下ろすに下ろせなくなっている、そんな風にも見える。


「アレクシア!」


 聞き慣れない声が聞こえる。しかし聞いたことがある声。これは。


「トニー!」


 声の主の姿を確認する前に、私もロラン公も簡単に払いのけられる。転がった先から見えたのは、逆さまに見える景色。オリーに支えられながら立っているトニーと、その前に泣きながら座り込んでいるアレクシアだった。


 よかった。トニーは無事だったらしい。オリーが回復させてくれた様だ。これでなんとかなるだろう。痛む身体を気遣いながら起き上がると、オリーのそばに歩み寄る。


「アレクシア……」


 トニーが辛そうに口を開く。

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