並び立つために
アレクシアが腕も持ち上げ、それから振り下ろす。それを横の飛び退いてかわした。本気ではない一撃なのだろう。ちゃんと見える速度の攻撃だった。遊びの範疇。
「くっ……戦いたいわけではありません!」
「そう、遊びたいのよね」
そう声が聞こえたときには、アレクシアの次の攻撃が来ていた。まだ着地もしていない、空中で身動きも取れない。攻撃を傘で防ぐと、身体が吹き飛ばされた。
このままでは壁に激突する。そう思ったが、身体が勝手に動き、壁に着地できる。さすが猫である。高い所から落ちても着地できるという事は、こういう事ももちろん出来るのだ。
「さすが猫さん」
アレクシアがパチパチと手を叩いた。当たり前だがアレクシアが余裕過ぎて、止められる気がしない。せめて逃げる時間を稼いで、と考えたがそれは無理だ。飛んで追いかければすぐ追いつく。むしろそれのほうが、簡単に終わらせられる。退却中なら街の外に出ているのだから、被害は出ない。焼き払うだけ。
おそらくヒューマギオン教は撤退を始めている。十分街から離れるのを待っているということか。止められる気がしないし、説得できなければ、その先は大虐殺。
しかし、侮られているおかげで、会話には付き合ってくれそうである。
「アレクシア様、どうせ時を待つのが目的なら、戦いをしながらでは無く、お話しましょう」
「あら、バレちゃったかしら」
ふふふっと余裕そうに笑うアレクシア。目的がバレようと、それを阻むことは私には無理と思っているのだ。まったくそのとおりなのだが。
「……無闇に命を奪うのはよくありません、それはレディのする事ではありませんよ」
「……逆に聞きたいわ、どうして、あの害虫どもを庇うのかしら?」
アレクシアは本当にわからない、という感じで腕を組み首を傾げ続ける。
「オリビアが、もし傷つけられたら、同じ様に言えるの?」
胸がきゅっとなる問いかけだった。オリーが傷つけられたら。それを想像すると、明確に胸が痛くなる。自らの信念と想いを天秤にかける問いかけ。しかし。
「同じ様に言いましょう、もちろん辛く苦しい決断ですが」
アレクシアが小さくため息を付く。それから「真意をききましょうか」と、呟くように言った。
聞いてくれるらしい。私は痛む身体を我慢しながら、アレクシアに歩み寄る。
「私達は知性ある者だからです、皆で集まり話し合うことが出来る知性があるからです、だからこそ、罪人はそこで決めたルールに乗っ取り罰せられるべきです、ましてや異なる種族同士が身を寄せ合おうと、並び立とうとしているのです、よりその決まりを守る意志を強く持たなければ、すぐに崩壊してしまう」




