理由と打算
オリビアの話では、堕落したエルフがダークエルフという迷信が、まかり通ってしまっているらしい。つまりダークエルフイコール悪人という図式が出来上がっているという事だ。
それで真面目でお人好しなオリビアは、犯してもいない罪の為にシスターの格好をして、贖罪をしながら冒険者ギルドの依頼をこなしている。ランクの低い薬草の採取は華やかさがない為誰もやりたがらない。しかも、病気で困っていたりするから、それを達成するのはまさに人助けになるらしい。
「なるほど、とても偉いですね、オリビア嬢は」
「え、偉いなんてそんなっ……結局ダークエルフとバレたら、他の街へ逃げているので、放り出された依頼者にしてみれば悪者」
オリビアは相当に苦労してきたのだろう。自信のなさが現れてしまっている。これを今すぐに取り去るのは無理だろう。街に入るまでは一緒に居てくれるだろうし、少しでも変わる切っ掛けを示すことができればいいが。
「とにかく、先ほどの……粗暴なモンスターはいなくなったのです、薬草を探しましょう、私も手伝います」
「え?! 手伝うなんてそんな……ミケさんの様な強い方に薬草探しなんてさせられません」
「どうか手伝わせていただけませんか? その代わり街へ入る手伝いをして頂きたいのです……つまり手伝うのは私の打算です、オリビア嬢は気を病む必要はありません」
私は少しイタズラっぽく笑って見せる。
「もう……悪い猫さんですね」
オリビアも少し笑ってそう答えてくれた。
それから二人で薬草を探し始める。オリビアいわく毒消しの薬草を探しているとの事。
「毒消しの薬草」
私は記憶に引っかかるものを感じる。そういえば、ケットシーとしてここに住み着いていたから、ある程度自生している場所を知っている……気がする。気に留めていなかった物は自信がないが。
「ミケさん、どうしました?」
黙り込んだ私を、オリビアが不思議そうに覗き込んでくる。
「なんだか覚えがあるような気がいたします……こちらへよろしいですか?」
私がもともといた方角を指し示すと、オリビアが驚いた表情をした。
「移動するんですか? でしたら、ファングボアの討伐の証を取っておいたほうが良いですね」
オリビアが先ほど倒した粗暴な方の方に指をさす。あの方はファングボアというらしい。
「ミケさんは冒険者をやりたいという事なので、ファングボアを討伐した証を持っていけば、信用してもらいやすいですし、お金も手に入ります」
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