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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
1巻第3話

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オリーのスキル

 領主館から出ると、より明確に街の中が騒がしくなっているのがわかる。もう暗くなっているが白い装束が目立つおかげで、遠くからでもヒューマギオン教の信徒の姿は何となく把握できる。


「領主館の敷地内には侵入されていませんか」


 大まかに見てみると、前庭には白い装束の者はいない。ここへの襲撃は目的ではないということだろうか。あくまでこれまで行ってきた襲撃を大規模にした、という事なのだろう。少ない数では全く効果がなく、人数を増やしたというところか。


 私達は、前庭内を走る。それなりの広さの前庭で、正門まで到達するのに時間がかかってしまった。正門に手をかける前に、オリーの方へ振り返る。


「オリー、ここからは危険です、私達全員がターゲットになります……」


 そこまで口にして言い淀んでしまった。ここで待っているようにと言っても、反対されるだろう。共に行きたいと。


「私から離れないように、お願いします」


 少し驚いたようにしたオリーが、すぐ表情を切り替えて口を開く。


「はい! 私も役に立ちます! 治癒魔法を少しと、薬草で応急処置ができます!」


 そういえば、今までスキルについて聞いたことがなかった。癒しが得意とはオリーらしい。薬膳ティーもその一旦なのだろう。


「おい、僕には何もないのかよ」


 そんなキリュナの声が聞こえる。そちらに顔を向けると、唇を尖らせて、拗ねているようだった。いくら緊急事態とはいえ、レディにその様な顔をさせてはならない。私は、恭しく頭を下げると「キリュナ様も私から離れぬように」と口にした。


「まぁ、今はそれで……いいや」


 キリュナが顔を背けてしまう。暗さも相まってどういう表情なのか、読み取れないが声のトーンは少し機嫌が良いように感じる。


「さぁ、ゆっくりしてる場合じゃないですよ」


 キリュナの様子を伺おうとしていると、オリーに背中を押された。そう、本当にゆっくりしている場合ではない。


 今一度、門へと手をかけると、次は背後で大きな音がして、三人で驚きながら振り返る。そこにはアレクシアが立っていた。そして、よく見ると両手にはトニーをお姫様だっこしている。心がヒヤリとした。明らかに意識がある抱かれ方ではない。それに、アレクシアの様子も。



「オリビア……薬膳ティーとか、ああいうのって治療にも使える?」


 冷たい声が聞こえる。しかし、抑え込もうとしているが、漏れ出ている威圧感があった。トニーを預けるまで爆発させてはいけないというような、そんな意志を感じる。


「はい! トニーさん、もしかして」


 オリーが駆け寄ると、アレクシアがゆっくりとトニーを降ろし、そっと頬を撫でる。その瞬間だけとても優しいアレクシアの顔が見える。だがすぐに陰が差し、立ち上がって声を上げた。


「頭から血が出てる、意識は少しありそうな感じ……ちょっとお願いするわ……私は」


 その言葉の次の瞬間、アレクシアの背中の羽根が広げられた。風圧で少しよろけそうになるのを堪える。


「あの害虫どもを焼き払ってくるわ」

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