何が起こったかわからない
展開に迷って、一日遅れましたm(_ _)m
「……突然、大量のヒューマギオン教の信徒が街の中に現れて、人間以外の種族を襲っています」
兵士は自分でも何を言っているのか分からない、という感じで何が起こったか報告した。理解が追いついていない様で、ロラン公も一瞬沈黙してしまう。それからやっとという感じで、声を絞り出した。
「……いきなり? どういう事だ? 門番は何をしていた?」
「わかりません、何がなんだか……気づいたらという感じで」
気づいたらという事は姿を隠して、侵入していたということか。そこまで考えて、自分たちも使った認識阻害のマントを思い出す。アレを使えば。
「認識阻害のマントは」
私が問いかけると、ロラン公が顔を横に振る。
「あれは、かなり高価で希少な魔法アイテムだ、数が用意できない……いや、今はそんな事を議論している場合ではない!」
思い出したようにロラン公が声を上げると、立ち上がり部屋の出口に向かう。
「俺も出る、領民たちは傷つけさせねぇ」
ロラン公から、恐ろしいほどの威圧感を感じる。怒っているのが、空気に伝わって来るほどだ。
「私も手伝いましょう……オリー、キリュナ様、アレクシア様の三人は……あれ?」
三人に声をかけようと思ったが、アレクシアの姿が見えない。何処へ行ってしまったのだろう。部屋の中を見回すと、窓が開いている。
「まさか一人で、というかいつの間に」
「トニーさんの安否を確かめに行ったんだと思います、出ていったのは気づかなかったですが」
オリーが確信したようにそう呟く。確かにトニーの身に危険が迫っている可能性は、あるかもしれない。
「お前らは見えなかったのか、アレクシアって相当強いな、かなりのスピードで動いてたぞ」
キリュナがなんともない風にそう口にする。出ていったことに気づいていたらしい。強めの口調になってしまいそうになり、一度深呼吸してから口を開く。
「……なぜ止めてくださらないのです」
「僕に止められる訳が無いだろう……それにすごい泣きそうな顔だったというか、痛々しい顔だったから」
心配する気持ちに同情したということだ。気持ちはわかるが、私達を頼ってほしかった。一人は危険すぎる。
私は目頭の辺りを揉んでいると、肩に温かみを感じる。そちらを見るとオリーが私の肩に手を添えていた。
「どっちの気持ちもわかります、責めないであげて」
「……そうですね」
オリーの手に自分の手を重ねて返事をする。そうだ。誰も責められはしない。アレクシアは危険だろうと、愛する人の無事を第一に考え、キリュナはそれを尊重した。
「申し訳ありません、キリュナ様」
「いいよ、別に、お前の……ミケの仲間を思う気持ちもわかる、全員お互い様ってやつだ」
ニカリと笑うキリュナ。何となくベルトとマルタの姿が重なって見える。短い期間だったが娘という感じだ。
「アレクシア様を追いかけましょう……ロラン公」
私が振り返ると、すでにロラン公の姿は見えない。すでに出ていってしまった後だった。ロラン公にも守るべきものがある。
「……行きましょう」




