小休止
「ふぅ、やはりオリーの薬膳ティーは絶品です」
私がそう伝えると、オリーは、はにかむ。
「ミケが美味しいって言ってくれるから、美味しく入れられるんです」
オリーの表情にドキリとしてしまい、それを誤魔化すためにもう一度ティーを口に含んだ。
周りを見渡すと、皆が席につき同じ様にティーを楽しんでいる。キリュナが落ち着くのを待つ意味もあって、ベルトの家のダイビングで、オリーの入れたティーをみんなで楽しんでいるのだ。それにしてもオリーのマジックバックの中に、ティーセットが入っているとは。朝食時に使っていたティーセットは、洗って乾かしていた。つまり何セットか持っているということだ。
「オリーちゃんは、良いお嫁さんになるわね」
いきなり微笑みながらマルタから、そんな言葉をかけられる。素敵なレディではあるが、今ここで言うことでもないような。
「そうじゃな、店を出せるくらいに美味いと思うぞ」
マルタの言葉に同意するように、ベルトが声を上げる。それに対して、マルタは「もぉ、男っていうのは……ねぇ」とオリーに向かって漏らした。当の本人であるオリーは苦笑いを浮かべるだけである。どういう事だろう。
「私もそう思うわぁ」
アレクシアも話の流れに乗っかり声を上げる。マルタがそれに反応して「あら、奥さん、わかる?」と少し冗談っぽく言った。
正直何がなんだかわからないが。話に置いてきぼりになっているとそれを見かねてなのか、マルタが私に向かって口を開く。
「ミケさんはちゃんと気づいてあげなきゃ」
「き、気付く?」
流石に何のことか分からず、とぼけた声をあげてしまった。それを見て、マルタが「もぉ」と苦笑する。それから今のやり取りについて、説明してくれた。
「オリーちゃんは、ミケさんに合わせてお茶の温度を低めにしてるのよ」
「あ」
またもやとぼけた声をあげてしまった。そういえば、私はケットシーではあるが、猫である。猫舌なのだ。しかし、今まで熱いと感じたことがない。適温だと感じていた。
オリーの方に顔を向けると、ネタばらしされてしまったという感じでオリーが、バツの悪そうな笑顔を浮かべている。これはこれでシビリティパーソンとして、レディに恥をかかせてしまった事になる。注いでくれていた愛情に気付けないとは、情けない。
「マルタさん、明かす必要なんて」
困ったようにオリーがマルタに苦情を口にする。それを聞いたマルタが「男は鈍いから、ちゃんと褒めなさいって言わなくちゃ」といたずらっぽく笑った。




