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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
1巻第2話

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大事な話

 うにゃうにゃうにゃ!


「うにゃー、うにゃっ、にゃ!」


 にゃにゃにゃ! にゃなやーん!


「はっ、失礼、取り乱しました……というか、おやめなさい!」


 正気を取り戻し、猫じゃらしの先を見るとオリーが見えた。しかも私の傘がない。オリーが私の傘を掴み、猫じゃらしに変えたのか。猫じゃらしに変わった傘を、オリーが拾い上げ私を惑わしたのか。とにかく、カッコイイ場面だったのに。


「あっ、すみません、女の子を口説く邪魔をしましたか?」


 そんな事を言うオリーの目に視線を合わせると、そこには暗き闇があった。


「くどっ、口説くとかそういうことでは」


 シビリティパーソンは基本的に、すべての女性にこういう態度で接する。そうあるべきと思っていたが、それではオリーに失礼になってしまう。気をつけねば。


「な、なんなんだよ」


 鬼人のお嬢さんの声が背後から聞こえてきて、ハッする。今重要なのは、鬼人のお嬢さんを説得し、保護すること。時間制限がある以上、あまりゆっくりはしてられない。


「ちょっと一旦お待ちください、今ミケと夫婦として重要な話をしています」


 鬼人のお嬢さんが、オリーの謎の圧に半歩ほど後ずさる。今さらっと夫婦といったが、否定するとさらなる闇を招きそうで、黙る。そうか、こうして外堀が埋められていくのか。そう思うのは何回目だろう。そろそろ、外堀がなくなってしまう。いや、別に嫌な訳では無い。


 オリーを見上げると、妙に背が高く感じる。なぜだろうと思うと、自分でも気づかないうちに正座をしていたらしい。これでは浮気をして、見つかったダメ男のようだ。だが、許しもなく正座をやめるのはイケナイコトノヨウナキガスル。


 色々悩んでいると、オリーが手のひらを下にして、こちらに差し出してくる。


「……私にもさっきのしてください」


 オリーが少し顔を赤らめた。目にはちゃんと光が戻っている。よかった。私は正座の状態から右足を立て、ひざまずく。そして、オリーの手のひらに自分の手のひらを重ねた。左手は胸に当てる。


「マイレディ、不安な思いをさせました、申し訳ありません……ですが私の想いは、いついかなる時も、変わりません……その誓のキスを今ここに」


 オリーの手の甲に軽くキスをした。


「いつまでも煮えきらない、不甲斐ない私をお許しください、いつかきちんとした誓いを致しましょう、今はこれで」


「……はい」


 オリーが、右手をゆっくりと胸の前まで持ってくる。それから左手で大事そうに包むと、大事そうに胸に押し当てた。少し俯いて目を閉じると「お待ちしています」と囁く。


「僕は何を見せられているんだ、本当にお前らなんなの」

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