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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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草食の鬼人族との対面

 草食の鬼人族はこちらの動きを、把握しているわけではなさそうだ。ただ単に私達が降り立った辺りから、離れるように進んでいる。それから回り込むようにすれば。


「お二人は、そのまま進んでください」


 オリーとアレクシアに声をかける。アレクシアから離れることになるが、一瞬のことだ。約束を反故にしたわけではない。


 私は今まで走っていたルートから横に逸れる。ケットシーの身体なら、素早く作物の壁の隙間を抜けられる。そうやって壁をすり抜けて、草食の鬼人族が辿り着く先へと回り込む。スピードを落とさず障害物をすり抜けるのは得意だった。全力で走れない相手を補足するのは容易いことだ。


「お待ちください」


 草食の鬼人族の前に横から歩いて登場する。それを見た草食の鬼人族は立ち止まって、舌打ちをした。すぐ振り返ろうとするが、後ろからオリーとアレクシアが来ていることに気づいて、苦々しく私を睨む。


「何なんだよお前ら」


 ショートカットの黒髪におでこの辺りから二本の角がある。男の子か女の子かわからない、中性的な顔立ち。少し幼さも見える童顔のせいだろうか。いや、本当に幼いのか。


「貴方を迎えに参りました」


 私は恭しく頭を下げる。まずは礼を尽くす所から。そうでなければ始まる話も始まらない。


「迎え? 何の話だよ、僕はお前らなんて知らない」


「失礼……私はミケ・ミャン・キャットフィールドと申します」


 私の自己紹介を聞いて、オリーが息を整えるため一度深呼吸すると、姿勢を正し口を開く。


「オリビアと申します」


 オリーは右手を左胸あたりに添えて、頭を下げた。なかなか様になっているではないか。シスターの格好でなければ、立派な淑女、シビリティパーソンだ。ちなみに男装したら似合いそうである。というのは今は置いておこう。


「アレクシアでぇす」


 アレクシアは変わらずポワッとした笑顔でそう名乗った。


「事情を説明させてほしいのですが、まずは坊やの名前をお伺いしても?」


「おい、ふざけんな! 獣人! 僕は女だ!」


 別に悪意があったわけではなく、何となく男の子に見えたためそう呼んだつもりだった。僕と言っていたし。しかし、女の子だったらしい。しまった。私としたことが。


「これは失礼いたしました、お嬢さん……名前をお伺いしても?」


「お前らに名乗るつもりはない!」


 鬼人のお嬢さんは、そう声を発した瞬間、とても強い圧力を放つ。臨戦態勢。性別を間違えてしまったことが、許せないということだろうか。


「落ち着きましょう、戦うために来たわけではありません」


「うるさい!」


 鬼人のお嬢さんは、私の方に飛びかかってきた。

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