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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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発見

 農場までは本当にすぐだった。その事実がもう一度恥ずかしさを呼び起こすが、必死で抑える。今はそれどころではない。


「見えますか?」


 農場は広いが、森のように生い茂っていない。誰かいればすぐに見つけられそうな気がするが。期待の視線を送ると、アレクシアが何かを見つけたように反応して、そちらの方に移動する。


「なにか見つけましたか?」


 問いかけにアレクシアが頷く。


「チラッとしか見えなかったけど、ハゲてないわぁ、ババアでもなかったわぁ」


 言い方が乱暴なのが気になるが、今は置いておくとして。ベルトやその奥方ではないとすると、草食の鬼人族の可能性は高そうだ。


 念の為、一度上空を通り抜けてもらう。


「あぁ、鬼人族だわ、角もあったし、何より飛行する私と目が合った」


 少し緊張した様子のアレクシア。強い種族なのだろう。人間相手に比べると、少し警戒しているのは明らかだ。


「降りましょう……アレクシア様は、私の後ろに居てください」


「トニーが見てないところは大丈夫なのにぃ」


 アレクシアが降下しながら不満を漏らした。ここまでのやり取りで何となく感じていたが、やはりアレクシアはか弱い女性ではないようだ。どちらかと言うと好戦的と言うべきなのだろうか。


「トニー様と約束しましたので」


 いくら強いのが分かっていても、愛する人が心配なのだ。その気持ちは理解できる。私は一瞬オリーに視線を送ってしまい、すぐに顔を横に振って視線を戻す。今は草食の鬼人族だ。


 地上に降りてすぐに、草食の鬼人族がいた場所に移動する。どっちの反応をするかわからない。逃げるのか、迎え撃つために待ち構えているのか。あるいは我々など眼中にないのか。


「あれ、いないわねぇ」


 少し移動した所で、アレクシアがそんな声を上げる。移動してしまったらしい。逃げるという反応をしたらしかった。草食だし、そうなのかもしれないと思っていたが、非交戦的という事だ。


「追いかけましょう……こちらの様です」


 私が指を指すと、オリーが驚いた様子で問いかけてくる。


「わかるんですか?」


 私はにやりと笑って頷いてみせた。自分でも驚いているが、音と匂いが何となく分かる。前世の記憶が戻ったことで、無駄に発現した人間の感覚が邪魔をしていた。しかし、慣れてくるとケットシーの鋭敏な感覚、特に音と匂いの感覚をオンオフ出来る様になった。いや、本能的に気にしないようにしていたのを、その感覚に集中できるようになった、という方が正しいかもしれない。気にしないようにしなければ、鋭敏すぎて気が狂ってしまいそうである。

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