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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第三話

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上空にて

 それから森の上空を飛びながら、草食の鬼人族を探していたがなかなか見つからなかった。何度か先ほど見かけた三人組の冒険者を見かけたぐらいだ。彼らもまだ見つけられていないらしい。


 これだけ探しても見つからないとなると、ここにはいないのでは無いだろうか。森の中には野獣が居て危険だ。肉を食べないのなら、森の中は潜伏するにはあまり適していない。問答無用で襲ってくる野獣と、無駄に戦う羽目になりかねない。


「やはり、農場に居たのでしょうか」


 私が呟くと、オリーが「可能性が高くなってきましたね」と、苦笑する。オリーからしてみると、少し強引に森に行く様に勧めた手前、気まずい思いをしてしまっている様だ。


「申し訳ありません、私の判断が甘かったようです」


 体勢的に頭を下げられないが、誠意を持ってそう口にした後、言葉を続ける。


「農場を探しましょう、アレクシア様の予想が当たっているかもしれません」


「わかったわぁ」


 特に気にしている風もなく、アレクシアが頷いて方向転換をする。オリーが何かを呟いたのを聞いて、そちらに目を向けるとオリーと目があった。


「すみません」


 消え入りそうな声で謝罪するオリー。そんな表情をしないでほしい。


「何か謝ることをしましたか? マイレディ……私の判断が間違っていた事を気にして、自分の責任ということにしようとしてくれましたか、オリーは優しい方ですね」


 一応言葉を挟めないように、ひと息にそこまで話す。それからオリーの頬に優しく触れて、微笑んで見せる。


「ありがとう、私のミスはあなたの物、その逆もしかりですね、それがともに歩むということですし」


「ミケ」


 オリーが顔を赤らめて呟いた。私の体を支えてくれているオリーの手に、少し力が入る。私を動かす為に力を入れたような、そんな。


「二人はイチャイチャしていいわねぇ、私もトニーを連れてこれば良かったわぁ」


「ふやっ」


「ふにゃっ」


 別に何かをしようとしていたわけではないが、二人でそんな声を上げて、顔を背ける。アレクシアは前を見ていて、こちらに見向きもしていない。こんな風に慌てなくてもいいのだが、ついというか。


「スピード上げていいかしらぁ、気を使って到着を遅らせた私って偉いでしょう?」


 気付かなかったが、スピードを緩めていたようだ。確かに、アレクシアの飛行スピードで農場の上空に移動するだけなら、それほどかからないはず。


「あはは……スピード上げてください」


 オリーが照れ笑いをしながら呟いた。私も恥ずかしくて、顔が熱い。

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