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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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時間制限

 静かに森の中に降り立つと、すぐにマントに身を包む。姿を晒す気は無いのだが、見つかってしまった時のために、要人の為だ。


 体を屈めて、草木に身を潜める。少し先に、冒険者風の男たちが三人腰を下ろしていた。


「何処にいるんだよ、全然見つからね」


 一番若い男が、吐き捨てるように言った。それに頷いた二人のうちの一人が、口を開く。


「居るとしたら、この森かと思ったんだけどな……クソっ、ジジイとババアが襲われたんだっけか、ちゃんと何処に逃げたか見とけよ、使えねぇな」


「そうだよな」


 一番若い男が、吐き捨てるように言った。それからリーダーっぽい渋めの壮年の男が重々しく口を開く。


「ヒューマギオン教が動いてるって話だ……別件だが、軍隊引き連れてここら辺りを通るらしい、急がねぇと横取りされちまう」


「そうっすね、急がねぇと」


 冒険者三人組が、休憩を終えるように立ち上がった。気になる話があったが、その前に一旦私達もここを離れるため、冒険者達が歩き出した方向とは反対に移動する。


 十分離れた所で、私は口を開いた。


「とりあえず、草食の鬼人族は見つかっていないようですね……それからヒューマギオン教とは」


 全く知らない単語に戸惑いつつ、オリーとアレクシアに問いかける。軍隊を率いてここを通る。冒険者たちは横取りされると言っていた。そこから想像すると、なかなか危ない状況なのではないだろうか。


 オリーが少し顔をしかめる。やはり良くない状況なのか。


「ヒューマギオン教は名前の通り、宗教です……人間を善として、それ以外をすべて悪だと教えている危ない宗教です」


「それ以外、亜人もですか」


 モンスターに分類されている種族は分からないでもないが、亜人という分類で一応人間の中に含まれている種族まで悪としているとは。


「しかも、異端として人間以外には襲いかかってきます、亜人も街なかは流石にありませんが、外に出た途端襲われるそうです」


「うわぁ、ヤバイ奴らね」


 珍しくアレクシアが顔をしかめる。確かにヤバイ奴らだ。そこら辺の野獣と変わらないではないか。


「目的は分かりませんが、その危ない方々が、軍隊でここの辺りを通る予定があるのですね」


 早くしなければ、草食の鬼人族もそうだが、私達も危ない。


「とりあえず、あの冒険者達を黙らせる?」


 いつも通りのポワポワな笑顔で、アレクシアが提案した。その笑顔でやめてほしい。


「ダメですよ、というか、あの方々だけを止めてもダメでしょう」


「あっ、冒険者ギルドの依頼を受けられるのは原則一つのパーティーだけですよ、素材を売る目的で討伐もありえますけど、依頼をすでに受けている所があるのに他のパーティーがそれをやるのは、ルール違反ですからあまりありえないです」


 オリーが補足してくれる。そうだったのか。あんまり良く分かっていなかった。


「そうだとしても、可能な限り接触は避けましょう」

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