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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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私たちの正体は

「実は私も」


 ベルトの方に再度身体を向けて、そう切り出す。アレクシアだけに姿をさらさせて、自分は何もしないという訳にはいかない。


 自らのマントを脱ぐと、ベルトに姿を晒す。ドラゴニュートより人間らしくないから、怖がられてしまうのではと思ったが、そんな事はなかった。


「獣人、かの……獣人は良くわからんのぉ、いろいろいるから」


 獣人は人間の割合が多い者と獣の割合が多い者とがいて、すごく微妙なのだ。モンスターではないという自己申告を信じるしか無い。だが今回は。


「私は、ケットシーです……人間は食べませんが」


 ベルトの表情に変化はない。


「じゃあ、あんたもかい」


 ベルトがオリーに顔を向ける。当然の疑問だ。しかし、オリーに関しては、正体を明かす必要はない。ダークエルフで、人間を食べる種族ではない。むしろ食べられる方だから、立ち位置的にベルトの方ではある。


 私はオリーの方に顔を向けた。


「無理に正体を明かす必要はありませんが」


「いえ、明かす意味はあります」


 オリーがマントを脱ぐと、ベルトに対して口を開く。


「私はダークエルフです、人間を食べる種族ではなく、食べられる方ですが、二人と行動を共にして、実の危険を感じたことはありません」


 オリーの言葉に、つい頷いてしまった。そういえば忘れていたが、オリーにとっては自分を食べるかもしれない者たちと行動していたのだ。なのに無事である。モンスターに分類される種族の中にも、人間にとって害のない個体はいるという、大きな証明だった。


「そうか……モンスターといっても色々なんじゃな、いままでモンスターは危険と言われておったし、若い頃に怖い思いをした事があったのじゃ、それで、凝り固まって追ったかもしれんのぉ」


 緊張が取れたのか、最初の方に見せていた柔らかい雰囲気が戻ってきていた。理解してくれたらしい。一件落着というような雰囲気が流れかけて、そうではないと顔を引き締める。鬼人族の件は何も解決していない。


「分かっていただけて何よりですが、本題はそこではないのです」


「おぉ……あやつ、鬼人族の事じゃな、あやつは野菜を盗み食いしに来た不届き者じゃ、げんこつ一発と料金徴収せにゃ」


 ベルトが不敵に笑い、右の拳を顔の前で握って見せる。人間は食べないと言っても、気性がどうか分からない。殴ると殴り返される可能性もあるが。


 私は一度苦笑いを浮かべて、その言葉を流す。それから表情を引き締めて、ベルトに問いかける。望みは薄いが、一応の確認だ。


「鬼人族の件の依頼を取り下げる働きかけを出来ませんか」

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