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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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思い返してみれば

「では、被害についてですが……ベルト様達は追いかけられたり、攻撃されたり、危害を加えられましたか?」


 私が問いかけると、ベルトは驚いた顔をして呟くように返してくる。


「思い返せば……何もされておらんのじゃ」


 農作業をしているおかげで、体力は普通の老人よりあるだろうが、それでも鬼人族が捕まえられない程ではないはずだ。老人は好みではなかったという可能性もあるが。


「家畜を飼っていますよね? 農作業用の労働力です、それらは食べられていませんか?」


 ほとんど間を置くこと無く、ベルトは「一頭も減っておらんのじゃ」と答えた。質問を予想していたかのような返答の速さ。いや、ここまできたら、すでにいろいろ考えが浮かんでいるかもしれない。


「何しに来たんじゃ、あやつは」


 ベルトが分からないという顔で呟いた。


「おそらくは、トマトときゅうりを盗み食いしたのでしょう」


「な、鬼人族っていやぁ、人間を食うんじゃろ? 野菜を食べるなんて」


 信じられないという顔で呟くベルト。今までの見聞きして組み上げられた常識のせいで、事実が入ってこないという感じだ。そこでアレクシアが、唐突に「うーん」と唸る。


「どうしました?」


 振り向いて、そう問うとアレクシアが着ていたマントを脱ぎ始める。認識阻害の為のマントだ。それを脱いだら。


 しかし止める間もなく、アレクシアがその肌と羽を見えるように晒してしまった。


「ッ?!」


 ベルトが息を呑む音が、はっきりと聞こえる。


「何かわからんが……人間じゃなかったのじゃな、あんた」


 ドラゴニュートはレアな種族らしく、オリーも会ったことがなかった。もちろん農家が接点を持つようなことはないだろうから、ベルトも知らないのだろう。それでも亜人に含まれる種族ではないと、理解はしているようだった。


「人間って私達の事、良く知らないでモンスターとか言ってるけどぉ、べつに人間食べなくても生きられるわよ、好みねぇ、人肉が好きな人も居るし、鶏肉が好きな人もいる、野菜が好きな人もいるわね……今回の鬼人族みたいに」


 何という危ない真似を。もしベルトが怖がって逃げてしまったら、二の舞になってしまうところだった。しかし、ベルトは驚きはしているものの、怖がって逃げる素振りはない。


「アレクシア様、そういうのは危ないですよ」


 軽率な行動ではあった。一応それを注意すると、アレクシアがなんとも無いふうに口を開く。


「初めてあった時のトニーと同じ雰囲気だったから、行けるかなって思ったのよぉ」


 相変わらずのポワポワ笑顔で、アレクシアが言い放った。何となく納得。

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