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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第三話

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好々爺

「おぉ、冒険者かい、それに丁寧なお方じゃ、これなら安心して任せられるわい」


 お爺さまが安心したように「ホッホッホッ」と笑う。とりあえず警戒はしていないようだ。ロラン公から借りたマントが、ちゃんと機能している証拠だ。


「領主様が鬼人の討伐を冒険者ギルドに依頼してくれたと聞いたんじゃが、それから何の音沙汰もないし、冒険者も訪ねてこんから、どうなっとるのか分からず、迷っておったんじゃ」


「避難するかとかです?」


 オリーが問いかけると、お爺さまが頷いて返す。


「そうじゃそうじゃ、一度目は何故か食べられなかったのじゃが、二度目は違うかもしれん、ただ避難すると農場の管理が出来なくなるじゃろう、命の方が大事じゃが、農作物がパーになりゃあ、来年の生活費が無くなっちまうのじゃ……短い期間で全部済むなら避難しようかって家内と相談しておったんじゃが、音沙汰がないから見通しがたたんで、迷っておったんじゃよ」


 だからこそのこの歓迎か。下手したら、盗人とかそう思われかねないのに、手放しで信じてくれた。この件は手早く済ませて、このお爺さまも安心させてあげたい。


「申し訳ありません、到着が遅れて不安な思いをさせたようで」


 心の底から申し訳なく思い、頭を下げる。優雅に朝食を楽しんでからロラン公の所に行ったのが、少し罪悪感だったりする。


「いやいや、良いんじゃよ……冒険者は粗野で礼儀もなってない輩ばかりで、音沙汰がないのはしょうがないとは諦めておったんじゃ、あんたみたいな者が来てくれて良かった」


 ハゲと言われて怒っていたのが嘘のように、好々爺らしい笑顔を浮かべる。この方もシビリティパーソンなのかもしれない。それに知らないだけで、色々知ってくれたら、モンスターと言って差別しないのではないか。


 色々考えていると、オリーが私の方に手を置く。そうだった。ゆっくりしている場合ではない。情報収集しなければ。


「ティーでも楽しみながら、ゆっくりお話したいところですが、先に不安を取り除いてからに致しましょう……確認ですがそこのトマトときゅうりは……あぁ、申し訳ありません、お名前をお伺いしても?」


 そういえば名前を聞いていない。お爺さまと呼んでもいいが、仲良くなれそうだからぜひ名前を知りたい。


「おぉっ、これは失礼したのじゃ、丁寧に名乗ってくれたのに、こちらは自分の話ばっかりで、名乗っておらんかったのじゃ」


 パチっと禿げ上がった頭を、お爺さまは自分で叩く。禿げていないとか怒っていたのに、そういう事は普通にするのだな。


「ワシは、ベルトじゃ……家内もあとで挨拶させるでの、冒険者様……ミケ様、よろしくお願いするのじゃ」


 ベルトは真剣な表情になり、頭を下げた。

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