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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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農場へ

 青空の下をまぁまぁなスピードで飛んでいる。高度もそれなりで、下を見る勇気はない。空を飛んでいて能天気に「ヒャッホイー」とはしゃぐ事は、無理そうである。異世界転生物の小説の主人公すごい。


 ちなみに何とか首根っこを掴まれたままの飛行は免れ、アレクシアがオリーをお姫様抱っこし、オリーのお腹の上に私が乗るという形に収まった。かなり楽だが、アレクシアはキツくないのだろうか。


「アレクシアさん、腕はキツくはありませんか? 人を助けに行くと言っても、無理は禁物ですよ」


 急ぎはするが、無理をするのもいけない。そう思っての言葉だったが、アレクシアはキョトンとした顔で返事をする。


「え? いらないわぁ、というかもう二、三人はいけるわね」


 さすがドラゴニュート。身体が強靭らしい。帰りは一人増えるため、馬車で帰ることを想定していたが、普通に飛んで帰れそうである。


「人が乗っても大丈夫な大きいカゴがあれば良いわねぇ、それなら飛びやすいと思うわぁ、もっとスピードも出せるし」


 これでもまだ最高速度近くまで達していないようだ。アレクシア一人ならもっと早く到着できるという事。飛べるのもちょっとうらやましい。世界がもっと広がるだろうな。そんな事を考えていると、アレクシアが声を上げる。


「アレかしら、農場っぽいわぁ」


 ちょっと怖いが、下を覗くと確かに畑が広がっている。


「少し離れた所に降りましょう、マントを来てから訪ねなければ」


 残念ながら我々が老夫婦をこのまま訪ねたら、草食の鬼人族の二の舞だ。悲しい事だが。



 少し離れた所に着地して、準備を整えた私達は農家へと向かっていた。老夫婦は家にいるだろうか。何処かに避難してしまっていたら、話が聞けない。その場合は、少しお邪魔して被害状況を見させてもらうとしよう。


 農家の住宅部分らしい建物の前に到着する。建物は静かに佇んでおり、人の気配はしないように感じる。昼間なので、農作業をしているのだろうか。やはり避難をしているのだろうか。


「少し農場を見てみましょうか」


 住宅に侵入する訳では無いから良いだろう。それに二人とは、依頼を受けた冒険者のフリをしようと打ち合わせてある。依頼人を訪ねてきた冒険者なら、言い訳もたつだろう。


 農場の中を歩いていくと、色々な作物があるのがわかる。比較的野菜が多い気がするが、野菜農家だろうか。


「あれ、ここだけトマトが」


 オリーがそう呟いた。振り返ると、一点を見つめて立ち止まっている。そこまで戻って、オリーの視線を追うと。


「トマトがここだけ、禿げてるわねぇ」


 独特な言い回しをするアレクシア。禿げているという表現で良いのか、ちょっと分からないが、トマトが実っている場所の中の一部分だけ、不自然にトマトがなくなっていた。

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