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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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準備

 アレクシアという方が館にやってくるまでに、準備を整えることになった。準備と言っても、それほど大事ではない。移動はアレクシアに飛んでもらう事になる。だから、野営する必要はなく、お金さえあれば最悪は現地で調達できる。あとは姿を隠すための装備ということ。


「特別製の魔法をかけたマントだ、身に付けると認識阻害することができる」


 執務室から移動して、装備を用意してあった部屋にやってきていた。そこでロラン公が、一つのマントを持ち上げながら、そんな説明をしてくれた。それから少し言いづらそうにして、言葉を続ける。


「お前らの姿を、気にならないようにできるんだ」


「なるほど」


 認識阻害とはそういう意味で、ということだ。姿が認識できなくなるというものではないのだろう。


「すまんな」


 ロラン公が呟くように、そう謝罪した。我々の姿は決して恥ずべきものではない。堂々としているべきだ。ロラン公はそう考えているのだろう。だがそれはまだ、ロラン公の領地でしか通らない。


 理想と現実に苦しんでいるのだろう。一瞬悔しそうにロラン公が顔を歪める。だがすぐに、切り替えるように表情を引き締めた。


「情報が入ってから、時間が経っている、もしかしたらすでに冒険者が討伐に動いているかもしれねぇ」


 どの様な手段で情報をやり取りしているのか分からないが、事態が変わっている可能性は十分にある。それに冒険者が動いていればもしかしたら。


「冒険者と戦闘になる可能性がある」


 ロラン公の言葉に、私は頷いて返した。やはりあり得るかもしれない。獲物を横取りするような物だ。素直に、はいどうぞと諦めてくれるなんてあり得ない。イメージではあるけど、血気盛んな者たちなのだ。冒険者なんてやっている者は。


「それからアレクシアさんを、守ってやってほしい」


「もちろん」


 私は即座に返事をする。アレクシア自らから戦いに行ってしまったら、守る余裕があるか分からないが。


「理由は聞かないんだな、ドラゴニュートなのにと」


 ロラン公が驚きと安心が混ざったような、そんな表情で呟く。それから薄く笑って呟いた。


「……ジェームズのやつが気にいるわけだ」


 誰かに向けての言葉ではない。私の返答を聞かずに、部屋の出入り口の方へさっさと歩いていってしまう。


「頼み事をしてる身でこういう事を言うのは申し訳ないが、時間がない、急いでくれ」


 ドアの前で振り向いたロラン公がそう口にする。オリーが「早く助けに行かないとですもんね」と返事をした。私もそれに同意する。


「そうですね、さぁ参りましょう」

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