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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第三話

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55/73

推測

「一人の鬼人族が襲撃、その引っかかるところというのは?」


 人数は大事かもしれないが、重要というわけではない。引っかかるというのは、どういう事だろうか。


「あぁ、まず一人で行動という所だ」


 この世界の種族に関する知識は、全くと言っていいほど無い。ましてやケットシーについても分からないというのに。しかしロラン公はそんな私にも、呆れること無く説明を入れてくれる。


「鬼人族というのは、集団で動くことがほとんどだ、一人で行動というのはあまりない……鬼人族の群れから追放されたという以外には」


 追放。その単語で自分の記憶にある事柄が想起される。前世の記憶が鮮明になった事で、薄れてしまったケットシーとしての昔の記憶。そこに群れから離れた時のように思える、記憶があった。


「それから」


 ロラン公の声で、モノ思いにふけってしまっていたことに気付く。いけない。話をちゃんと聞かなければ。


「ここからは、得られた情報から推測した内容だが、老夫婦は危害を加えられていない、鬼人族が人間を食べるつもりだったなら、老人二人など逃げ切れるわけがない、だが亡くなったという情報は無い」


 確かにそう読み取れるが、可能性としてはまだ他がありえる。


「……老人は美味しそうではなかったから襲わなかった、という可能性は?」


「もちろんあり得るが、他の推測がそれを否定できる可能性が高い」


 ロラン公が慎重に話を進める為か、少し考える様に黙る。合っているかもう一度考えるためかもしれない。ややあって、ロラン公が言葉を続けた。


「農家には労働力や肥料の役割を持つ家畜がいるはずだ、それらの被害もおそらく出ていない、明記されなかっただけかもしれんが」


 鬼人族の行動を想像してみる。追放されて途方に暮れて、お腹が減ったから農家に押し入る。老人だったから好みに合わなかった。そこまでは納得できる。しかし、家畜に手を出さなかったというのは不自然だ。肉は肉だし、不味いものでもないだろう。


「他にもある、なぜ農家に現れたか」


 ロラン公の言葉に首を傾げてしまう。食料を得るためでは無いだろうか。


「鬼人族は弱くない、それに何でも食べられるが原則肉食だ、にも関わらず野生の動物を狩らず、民家に現れた……加えて老夫婦にも家畜にも手を出していない可能性が高い、その上追放された事をふまえると」


 色々反対意見はあるが、言い出したらキリがない。それに高くもないが低くもない一つの可能性を、私も思い浮かべることができた。ロラン公もそれを思い浮かべている気がする。


「草食の鬼人族」


 私とロラン公の言葉が重なった。

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