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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第三話

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依頼

申し訳ありません。少し内容を変えました。

 適度に朝食とティーを楽しんだ後、オリーと二人で領主館に移動する。館を警備する兵士に案内され、ロラン公が待つ執務室までやって来た。


 執務室には大きな事務机と、部屋の真ん中に応接用のソファと机がある。促され、そのソファの片側にオリーと並んで腰掛けると、机を挟んで対面にロラン公が座った。


「朝早くに申し訳ねぇな、頼みたいことがあるんだ」


「はい、私にできることであれば」


 街のために力になりたい。それと、少しのお金への期待。私が頷いてみせると、ロラン公が安心したように、少し表情の力が抜けたように思う。


「助けに行ってもらいたい人物がいるんだ」


 人助けの依頼。これはお金や街のためだけではなく、シビリティパーソンらしい活動ができそうである。


 次の言葉を待っていると、ロラン公が苦々しい表情を浮かべた。


「……無駄足になっちまう可能性があるんだ、だから俺が出向きたいところだが、他領の事でな、さすがに領主の俺が他領に公務以外で侵入すると問題になっちまう」


 他領での人助け。確かに領主のロラン公が行ってしまうと、そこの領主との関係性が悪化してしまいそうだ。そうでなくてもロラン公は他の領主から煙たがれているらしいから、少しの事で揚げ足を取られて政治的に危うい立場になりかねない。まぁ、情報が入ってくるということは、スパイを送り込んでいるということだ。それだけで問題行動ではあるのだけど。


 それにしても意外と我慢できる人なんだな。考えるより体が動きそうなタイプなのに。


「詳細を教えてください、無駄足でも問題ありません」


「ありがとな、それと無駄足になっても依頼金は渡す、安心してくれ」


「ありがとうございます」


 私の返事にロラン公が頷く。それからややあって、ロラン公が口を開いた。


「他領の街アーゼルンの冒険者ギルドでとある依頼が発行されたらしい、その依頼というのが少し引っかかるところがあってな」


 ロラン公が押し黙ると、少しの間を開けてから話を再開させる。


「その依頼というのは、鬼人族の討伐……老夫婦がやっている農家に現れた鬼人族を放置するのは危険として、その領の領主から冒険者ギルドに依頼されたらしい」


 鬼人族。良く分からないが、おそらくモンスター扱いをされている種族だろう。鬼人と聞くと、人間を食べるのかもしれない。


「老夫婦の農場が鬼人族達に、襲われたということですか?」


「いや、一つ訂正だ……たちではない、鬼人族一人だ」

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