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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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攻防

 すでに陽は落ちて、夜になった。もう寝る時間である。だがその前に人間には大事な儀式が存在する。入浴である。オリーももちろん入浴をするのだが、私は水、というかお湯だが、それに浸かることは断固として拒否したいのである。


 人間だった頃は、むしろ温泉が好きで湯に浸かるのが好きだったのだが。不思議な感覚だった。このどうしても嫌という気持ちは。


「ミーケー、ばっちいですよ、ちゃんとお風呂に入りましょう」


 現在、お風呂場の前でオリーに抱きかかえられている。服を脱がされそうになるのを、必死で抵抗していた。


「うにゃうにゃうにゃ! うにゃー!」


「ダメですよ! というか綺麗にしていない人は、シビリティパーソンズ・サロン出入禁止になりますよ!」


「うっ」


 痛いところをついてくる。確かにシビリティパーソンたるもの、綺麗にしていなければいけないだろう。毎日入浴をしないなんて、ありえない。が、しかし。


「毛繕いするので、大丈夫です」


 それで清潔になる。今までそうしてきた。問題ないはずだ。それだけ言って、またオリーの腕から逃れる為に、もがく。しかし、オリーは納得していないように私を抱きかかえる腕の力を強めた。


「ダメです、私が許しません……というか、そんな野性的なミケは嫌です」


 野性的な行動。毛繕いはたしかにそうかもしれない。シビリティパーソンとして、野性的なのはやはり。


「ぐぬぬぬぬ」


「はい、観念して服を脱ぎましょう」


 そう言ってオリーが私を床に降ろす。ジェームズが仕立ててくれたスーツに袖を通すのだ、確かに毛繕いだけでは不十分かもしれない。なんとかそんな風に納得して、着ていたシャツとズボンを脱ぐ。


 それを満足そうに見ていたオリーが、おもむろに服を脱ぎ始めた。


「ちょっ、オリー?! なぜ脱ぐのです」


「なぜって、私も入るので……ミケだけだと入らないかもしれないですし、お風呂のことに関しては、ミケを一切信用してませんから」


 確かに、ちょっと入ったふりだけしようかと頭をよぎったが。しかし問題はそこだけではない。


「レディが、男に簡単に肌を見せてはいけません」


 まだ、そういう関係ではない。というかそういう関係でも、シビリティパーソンは一緒にお風呂に入らないのではないだろうか。その辺りは知識がないから分からないが、紳士=変態は違うと思う。


 しかし、私の言葉を聞いて、少し怒ったような表情に切り替えたオリーが口を開いた。


「今は……駄々をこねる子供を相手しているお母さんのような心持ちですがなにか?」


「あっ、すみません」

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