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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第二話

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明日への期待

「それでさっきの話ですが」


 くつろいでティーを楽しんでいるところに、オリーがそう切り出す。私はカップを机に置いて、軽くオリーの方に体を向ける。


「先にやりたい事でしたか」


「はい」


 オリーが頷く。それから、軽く耳に触れてから、口を開いた。


「シスターの格好をしてる理由は話しましたよね」


「はい、ダークエルフというのを隠すのに不自然ではない格好がシスターだったという事でしたね」


 贖罪の為という事もあったという事は、あえて口に出さない。罪を犯してもいないのに贖罪なんて必要ない。その事実も、口に出して確認する必要はない。


「この街に来てもうその必要がなくなったと思うので、シスターの格好は辞めようかと」


「あぁ、それはいい考えですね!」


 前向きに変わろうとしているという事だ。嬉しい限りである。


「それで、まずはどういう服装にしようか考える事をしたいんです、ミケさんの様なトレードマークの様な服装にしたい」


「なるほど、それが先にやりたい事ですか」


 コーディネートというのは考えるのは楽しい事だ。私もジェームズと、あれでもないこれでもないと話し合ったのは楽しい時間だった。なまじ慣れない自分の姿だ。ゲームのキャラクタークリエイトのような感覚がある。オリーにはそんな感覚は、もちろんないのだが。


「ですが、トレードマークですか……なにか思い浮かべている事はあるのですか?」


 私で言えば紳士。シビリティパーソン。それをふまえれば、おのずとスーツという選択肢になってくる。オリーにはそういった大事な信念の様な物はあるのだろうか。


 オリーは今まで考えたことがないのだろう。少し困ったように「無いんですよね」と笑う。嫌な思いをしてきた時間が長すぎて、変な方向にこじれてしまったのだ。仕方がないと思う。


「この件もゆっくり考えればいいのですよ、カッコイイ、もしくはカワイイ物をじっくりと」


「そうですね……ただ、私もジェームズ様に仕立ててもらいたいなとは思います」


「それはいい考えですね!」


「その為に、お金を貯めなきゃですけど」


 オリーが苦笑を浮かべる。そうであった。オリーの仕立ても頼むとなると、さらにお金が必要になる。


「明日からキリキリ働かなければですね」


「はは、まずはそこからですね」


 私は机に置いたカップを手に取る。それから、カップを少しだけ持ち上げてみせた。


「今はティータイムです、それを楽しみましょう、明日の事は明日に」


 オリーが微笑むと、自分のティーカップを手に取ると、私がしたのと同じように少しだけ持ち上げてみせた。

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