表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第一話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/75

何をやろうか

 とりあえず、長旅だったんだゆっくり休みな、とロラン公に言われ物件の場所を教わった。そこに向かってオリーと二人で街を歩いていく。


「やっぱり宿じゃなくて、ロラン様の所に先に行ってよかったですね」


 そういえば、そういう話をしていた。今日の宿だけじゃなく、今後の住処まで手に入ってしまった。


「住み続けるには、依頼をこなしていかなければいけませんが」


「その件は申し訳ありません、私は弱くて何もできないのに……ミケにだけ負担がかかって、私は住まわせてもらうだけになってしまう」


 嫌味を言ったつもりはないが、オリーの謝罪を聞いてそういうふうにも聞こえてしまうかと思い至る。


「そんなつもりで言ったわけでは、この街を助けたいと思ってるので負担なんて」


「ありがとう……でも、何かしたいとは思ってるんです、せっかく店ができる物件らしいですし」


 こちらに顔を向けて、オリーが微笑む。何かしたい、そう言うオリーを見て、出会った時の事が蘇ってくる。ランクの低い薬草の採取は華やかさがない為誰もやりたがらない。しかも、病気で困っていたりするから、それを達成するのはまさに人助けになる。そういう理由で薬草採取をしていたから、自分のやりたい事をやっていたかと言うと微妙な所だ。


「なにか考えましょうか、すぐに決めないといけない訳ではないですし、まずはこの街で過ごしながら」


 冒険者ギルドはこの街にもあるらしい。とりあえずの仕事なら、困る事もないだろう。それにロラン公からの依頼もある。どれくらいの頻度であるのか分からないが、これも収入になる。オリーにやりたい事をのんびり考えてもらって、のんびりやってもらうための生活は出来るはず。


「あっ」


 オリーが突然声を上げた。何かを思い出したような表情。それからお腹を押さえてこちらに顔を向ける。その表情は少し赤くなっていた。


「聞こえました?」


 その態度と仕草で、何があったのか分かってしまった。しかしここはシビリティパーソンとして、レディに恥をかかせる訳にはいかない。


「なにがでしょう? それよりお腹が減りました、お腹が鳴ってしまいましたよ、何か買って食べながら行きましょう」


「ふふふっ、ありがとうございます、そうですね何か食べましょう」


 オリーが一瞬驚いた表情を浮かべてから、少しイタズラっぽく微笑む。それから私の手を握ると、少し駆け足で進み始める。なんだかオリーが活発になった気がした。この街があるおかげなのだろう。ロラン公は立派なシビリティパーソンなのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ