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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第一話

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33/75

望んだ形に

 決まった。かっこよく決めることができた。それでは、早くオリビアをたすけ……おや、レイピアがぐにゃりと曲がって……。


 ふにゃふにゃにゃにゃにゃにゃ!


「うにゃっ! うにゃうにゃうにゃ!」


 にゃにゃにゃにゃ、うにゃぁあぁ!


「はっ、失礼、取り乱しました」


 床に転げた状態で、正気を取り戻した。何ということだ。またやってしまった。かっこよく決まったのに、台無しではないか。というか、猫じゃらしが突然出現した気がするが。


「なっ、舐めてんのかてめぇ!」


 呆気にとられて、固まっていたコメディオ達が思い出したように声を荒げる。


「あの時もふざけた事しやがって、やっぱり許せるわけがねぇ」


 コメディオの声に合わせて、手下どもも声を上げた。怒りの突撃を今にもしてきそうだ。


「くっ、レイピアを」


 周りを見渡すと、どこにもレイピアがない。あるのは妙に大きいが、見覚えのあるサイズ感の猫じゃらしのみ。いや、よく見たら柄がレイピアのそれではないか。


「私が望んだのかね?!」


 使用者の望んだ姿に形を変える魔道具。つまりはそういう事なのか!


「くっ、一旦その事は脇においておきましょう」


 コメディオ達がそれぞれの武器を、こちらに振り上げている。もう一瞬先には、武器が振り下ろされるだろう。目で追えない速さではない。というか、すごくゆっくりに見える。実力差だろうか。武器を用意するまでもなかったかもしれないが、煽ったりバカにしたりはしない。シビリティパーソンたる者、敬意を持って全力でお相手する。


 床に落ちている猫じゃらしを掴み上げると、そばから飛び退いた。床が砕け散る音が響く。さて、どうするか。これではなと思いつつ、手にある猫じゃらしを見る。しかし、猫じゃらしだった物は、レイピアに形を変えていた。どこも変な所はなく、正真正銘ちゃんとしたレイピアだ。


「よろしい、では参りましょうか、相棒」


 気を取り直して、飛び退いた私に気づいていないコメディオ達に、レイピアの切っ先を向ける。


「こちらです」


「くそが、避けられた!」


 コメディオ達がもう一度武器を振り上げて、こちらに駆けてくる。とりあえず、無闇に命を奪うのはシビリティパーソンではない。その様な場合は、命と誇りをかけた真剣な決闘の時のみだ。この様な小競り合いで命を奪うべきではない。


「私の望む形に……刃をなくしたレイピアに、お願いします」


 レイピアの切っ先が丸くなった。これで、突いても痛いだけだ。

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