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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第一話

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20/75

冒険者ギルドへ

「では行きましょうか! 冒険者ギルドへ!」


 オリビアが溢れんばかりの笑顔でそう口にした。そして、一歩踏み出す。オリビアの背中が見えて、初めて自分が立ち尽くしていたことに気づいた。冒険者ギルド。とても憧れる響き。これから始まる冒険の日々に、心が踊る。それで立ち尽くしていたのだ。


 オリビアが私が動かないことに気づいて、振り返る。


「どうしたんですミケさん、行きましょう」


 そう言ってこちらに手を伸ばすオリビア。その姿は陽の光に照らされて、少し逆光で、それでもとても輝いて見える。


 私は一度目を閉じて少しうつむく。別に怖気ついたのではない。紳士として、取り乱してしまわないように、心を落ち着かせるためだ。その時間は一瞬。すぐに顔を上げてオリビアを見つめ返す。


「はい!」


 落ち着かせたつもりだったが、少し声が弾んでしまった。



 冒険者ギルド。その建物の前にオリビアと私は立っていた。


「ここですか」


 私は少し驚いてしまう。なぜかと言えば冒険者ギルドの看板の文字が読めたからだ。ケットシーはモンスターに分類される生き物。ほぼ人とは交流は持っていない。それにこの世界の言語が日本語の訳がないから、読めないと思っていた。人語を操れるのが関係あるのだろうか。いや、喋れるのと読めるかは関係ない。


「どうしましたか? 驚いてしまいましたか?」


 建物は確かに普通と違う。周りの建物がレンガ作りなのに対して、冒険者ギルドは木材作りだ。ショボくて驚いたという意味での問いかけなら一応は驚いた。


「そうですね……趣のある建物で」


 西部劇映画に出てくる酒場という感じの外観。出入り口は流石に普通の扉だが。


「大丈夫です、お金はちゃんと払ってくれますから」


 その心配の発想はなかった。それはもちろん見た目で判断などでしないのが、紳士だからである。別に文字が読めたことの驚きで、他の事が思いついていなかったとい訳ではない。


「さぁ、入りましょうか」


 とりあえず文字が読めた事は保留としよう。大した話では無いのだから。


「はい」


 オリビアの言葉に頷いて返す。それを見たオリビアが、ギルドの扉に視線を移し、手をかけた。少し緊張している様に見えるが、大丈夫だろうか。


 重厚ではない響きとともに、観音開きの扉が開く。

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