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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
第一話

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復習

 オリビアから受け取ったマントを羽織ってみる。体は隠してフードは被らず、顔だけ出した状態にしてみた。顔を隠すようにするのはやましい事をしているようで、気が引けたのだ。


「どうでしょう? 獣人に見えますか?」


「はい、少なくともモンスターには見えません」


 しっかりとした表情でオリビアが言葉を返してくる。自信がないという感じではない。


「ありがとうございます」


 このお礼は何とか返したいが、当分先になってしまうだろう。悔しいが。服を手に入れ、冒険者になり、資金を手にしてこの恩を返すのだ。


「早速参りましょうか、オリビア嬢」


 私は恭しく頭を下げる。格好のせいであまり締まらないな。


「はい」


 オリビアが嬉しそうに頷いた。それを確認したあと、私は門の方に向かって歩き始める。オリビアも少し遅れて歩き始めて、すぐに隣に並んだ。


「ところでモンスターについて、復習をさせて頂きたいのですがよろしいですか?」


「はい、わかる範囲でお答えします」


 聞いた話から私自身で考えて補完した内容もあるため、門にたどり着くまでにハッキリさせておきたい。


「ありがとうございます……まずはモンスターと言われるものは、人間に敵対するもの、人間を食料として見ているもの、ですね」


「はい、その認識で間違いありません」


「分類として人間では無いものの、友好関係で人間という扱いを受けているのが、エルフとドワーフ、そして獣人」


「はい」


 私はケットシー。モンスターに分類される。人間を食料としてみているから。もちろん、私は人間を食べたいとは思わない。


「獣人の中で人間を食べるのが好きな人もいます、そのせいで獣人は差別を受けやすいです……その他の亜人も様々な理由で差別を受けやすいんですが」


 オリビアが視線を前に向けたまま、そんな事を言う。自分の事、なんだろう。


「実は話していませんでしたが、モンスターの中にも稀に人間へ有効的な個体もいるんです、ミケさんみたいな」


 こちらに顔を向けてオリビアが一度笑顔を見せる。それから視線を前方に戻すと、話を続けた。


「その様な多様性があるおかげで、法整備が進んでいないのが現状です」


「つまり、私はやはり獣人のフリをすべきという事ですね」


「はい、自分から正体を明かすとしても、バレてしまうとしても、その時までに信頼を獲得しておいたほうがいいです……なので冒険者は良い選択だと思います」


「わかりました、ありがとうございます、何から何まで本当に、この恩は必ずお返しいたしますので」


「……なら、これからも一緒に」


 逡巡したかのように、一瞬だけ無言になり、オリビアは何かを言いかけた。しかし、門へとたどり着いてしまい、門番に声をかけられ、言葉は遮られてしまった。

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