毒消しの薬草と猫じゃらし
しばらく森の中を進み、すぐひらけた場所へやってくる。ここに毒消しの薬草が自生しているのだ。記憶が正しければ。
「あっ、あれです! あれ!」
オリビアが突然、ハイテンションになり、指をさして嬉しそうにこちらに顔を向ける。
「そうですね、ありました」
私は少し安心しながらそう返す。記憶違いではなくてよかった。
「じゃあすぐに採取してしまいますね!」
嬉しそうにオリビアが駆けていく。あれで自分の為ではなく、人の為なのだ。何という良いお嬢さん。淑女と言えるだろう。
これからはお嬢さんではなく、淑女として扱うように心がけよう。
私が頷いていると、オリビアは必要な量を取り終えたのか、こちらに戻ってくる。まぁ、全部取ってしまったら、ここの辺りの毒消しの薬草が全滅してしまう。
オリビアが笑顔で近づいてくると、何かを手に持っていた。長細い茎の先にふわっとした魅力的な……。
ふにゃにゃにゃにゃ! ふにゃ! にゃにゃん! にゃー!
「は! 失礼、取り乱しました……というかおやめなさい!」
オリビアは所謂、猫じゃらしという植物を持ってきていた。この世界での名前は何なのか分からないが。
「ふふふ、やっぱりお好きでしたか」
オリビアはいっこうに、猫じゃらしを振るのをやめない。やっやめっ。
にゃん! にゃーん! にゃにゃん!
「はっ! 失礼、取り乱しました、というか、おやめなさいって!」
私の静止でやっとオリビアが、猫じゃらしを振るのをやめる。
「ふふふっ、どんどんミケさんの可愛い所が判明していきますね」
少し意地悪な笑みを浮かべたオリビア。でも何となく楽しそうで、心を開いてくれているように感じる。
「さぁ、用事はこれくらいですよね? 街へ向かいましょう」
実は結構楽しみにしていたりする。街へ着けば、お気に入りの衣装やレイピアが手に入る。そこからが本番の紳士ムーブである。
ついついウキウキして、紳士らしくない振る舞いになってしまったかもしれない。少し咳ばらいをすると、オリビアに向かって口を開く。
「街はどちらですか? まずは最初に出会った場所まで戻れば、分かりますか?」
「はい、そこまで案内お願いします、そこからは私はご案内しますね」
「よろしくお願いします」
私は恭しく頭を下げる。オリビアがそれを見て、同じようなお辞儀を返してきた。
「さぁ行きましょう」
私は森の中を引き返す様に、歩き始める。
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