この世界の三毛猫は
三毛猫には、メスが多い。理屈はよく分からないが。そのせいで、オスはかなりのレアもので、高値で取引されていると聞いたことがある。
この世界では、三毛猫のオスにどれほど価値を見出しているだろう。私は三毛猫のオスである。ケットシーだが。もしかして、ケットシーのミケのオスだとより価値が上がったりして。
「ミケ……? お名前ではなく?」
オリビアは不思議そうに呟く。これは有名ではなさそうだ。オリビアが世間知らずだから知らないだけという事もあるが。三毛猫オスというのが原因で、いきなり身に危険が降りかかる事はないと思っていいだろう。
「いえ、それなら結構、ありがとうございます」
私は立ち上がり、恭しく頭を下げる。律儀にもオリビアは足を下ろして座っていた姿勢から、星座になりこちらに体を向ける。
「よく分かりませんが、お役に立てたなら」
そう口にして頭を下げる。好感が持てるお嬢さんである。なんとか助けてあげたいと思ってしまう。
「ところで、素材はある程度の水気は取れたでしょうか?」
完全に乾くのを持ってはいられない。ある程度水分がなくなっていれば、マジックバックの中は汚れないだろう。水気ぐらいは問題ないだろうし。
「そうですね……ふふっ、確認します」
なぜだか含みのある笑いをするオリビア。私が水気を嫌ってオリビアに確認を促したと思っているらしい。そんな事はない。断じて、そんなわけではない。
「まだ濡れてはいますが、これぐらいなら……触ってみます?」
少しいたずらっぽい笑顔でそう問いかけてくる。私は毅然とした態度で言葉を返した。
「肌触りはすでに堪能いたしましたので、結構ですよ、お気遣いありがとうございます」
私は少し演技がかったお辞儀をしてみせる。いたずらっぽい笑顔に対する紳士的な返し。正解なのかわからないが、悪くないと思う。
「はい」
こういうやりとりが気に入ったのか、オリビアは嬉しそうに微笑む。それから素材をマジックバックに入れると、こちらに体を向けて「準備完了です」と微笑んだ。
「かしこまりました、それでは参りましょうか……毒消しの薬草はこちらです」
記憶を頼りにしつつ、毒消しの薬草の自生している場所の方向を指し示すと、私は歩き始める。オリビアも後ろからついてくる足音が聞こえる。
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