川に映る姿
素材を洗い終えた後、オリビアは川の少し高い岩場に腰かけた。少し離れた場所からオリビアの腰かける背中を眺めていると、オリビアがこちらに振り向く。
「ミケさん、ここなら水から離れているので大丈夫ですよ」
嬉しそうに微笑んで、自分の隣の空いたスペースを軽く手のひらでたたいた。隣に座る様に進めているらしい。お嬢さんのお誘いを断り、恥をかかせるのは紳士にあるまじき行為。
「お言葉に甘えて」
私は恐る恐るオリビアの隣に移動する。確かに高い位置で、水しぶきも飛んでこない。と言っても、流れの遅い川だからさっきの水しぶきの様な事はそうそう起こらないだろう。それに大げさにしてしまったが、大した水しぶきではなかった。猫という物は本当に。
「きれいですね、水面に顔が映っていますよ」
オリビアが嬉しそうに、少しうつむいた。そういえば自分の姿を、まだ確認できていなかった。そんな事を思い出して、慎重にうつむく。
「……映っていますね」
気の利いた返しが出来なかった。だが仕方がない。私は自分の姿を見て、少し呆然としていた。やはり半信半疑だったからだ。
「どうしました?」
私の表情を変に思ったのか、オリビアが問いかけてくる。
「いえ、何でもございませんよ」
オリビアの方に顔を向けて、笑顔を作る。別にショックを受けたわけではない。ただ、こう非現実的な事が起こると、こんな風になってしまうのだな。
私はもう一度、川に目を向ける。全身が毛に覆われて、耳があり、動かせば尻尾も時折映り込む。前面に少し突き出た鼻と口。愛くるしい瞳。しかも、そんなつもりで名づけていなかったが、私は三毛猫の様だ。
「むむ」
「ミケさん?」
「……申し訳ありません、ところで質問があります」
オリビアにそう問いかける。それに対して「なんでしょう」と返してきたのを聞いてから、少し慎重に言葉を選び続けた。
「三毛猫……という言葉はご存じで?」
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