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猫紳士たるもの、猫じゃらしで遊ばれるなどありえません。  作者: 高岩 唯丑
1巻エピローグ

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スタートライン

「感服いたしました」


 本当に心からの言葉とともに、頭が下がる。マークから「私も同じ気持ちです」と笑い混じりの声が聞こえた。頭を上げると、マークは苦笑している。弟子という立場から見ると、絶望的な壁を前にした気分なんだろうか。その苦笑はそんな事を物語っている気がする。


「ではこれを」


 話の区切りを見計らったように、マークがマジックバックからスーツカバーがかかったスーツを取り出す。もちろん中身は見えない。そのおかげか、期待に胸が高鳴る。だいぶ遠回りしてしまった気がするが、やっとスタートラインに立てる気がする。


「どうぞ、お召しになってください」


 ウズウズしているのが、バレてしまったか。ここはもう隠す必要はないように思う。溢れる気持ちを抑えることなく「はい!」と声を上げた。



 オリーと私、それぞれ届いたスーツに身を包む。居住エリアで着替えを済ませ、カフェエリアに戻ってくる。


 私はオリーと向かい合わせに立つ。


 オリーのスーツは、ダークグレーを基調にしており、燕尾タイプの乗馬服風という感じだ。頭には羽飾りがついた小さめのシルクハット。かっこよさと可愛さが上手く調和している気がする。


 私のスーツは黒のスリーピース。単純で捻りがないと言えばそうなのだが、これが一番であると思っている。そして羽飾りのついた中折ハット。傘を杖のように持つ。


「ッッッ!」


 小さくガッツポーツを決めて腰をかがめて、オリーが声にならない声を上げる。多分小躍りしてしまいそうなのを、抑えるためなのだろう。そういう私も、顔のニヤニヤが止まらない。これは格好良い。


「喜んでいただけたようで、何よりでございます」


 マークが微笑んでそう口にする。嬉しくて仕方がない。私も小躍りしてしまいそうなのだ。


「ミケ」


「オリー」


 お互いにもう一度見つめ合う。お互いがその表情を見るだけで、褒め合う言葉など必要なかった。


「ありがとうございます」


 私は改めてマークに感謝を伝える。その先にいるジェームズにも届くように。


「ジェームズには、お二人の様子を漏らさずお伝えします」


 それはそれで恥ずかしいが、それでジェームズが喜ぶのなら。


「クランってやつを作るんだってな! さっきロラン様とすれ違って聞いたぞ!」


 カフェのドアが開けられ、そんな声が店内に響く。キリュナがそこに立っていた。


「あっ、キリュナ、いらっしゃいませ」


 上機嫌のオリーがキリュナを迎え入れる。対照的にキリュナの表情は、不機嫌に変わっていった。


「ズルいぞ、僕だけ除け者にして! 二人だけでクランってやつをやる気か!」

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