興味はなさそう
「まぁ、正式に手続きしていないが、お前らはほぼ認可されたクランと同じ扱いをするつもりだったからな、手続きしてもらったほうが色々面倒はない」
確かに、ロラン公から依頼や、街のトラブルを解決する事を頼まれている。実際にロラン公からの依頼で、キリュナの保護にも向かい、依頼料も貰っている。これからも同じ様に頼まれれば助けるつもりだったから、クラン設立はやぶさかではない。
「……かしこまりました、クランの設立を致しましょう、オリー、よろしいでしょうか?」
「もちろんです」
即答するオリー。クランを作る。なんだか、騎士団っぽさがあってちょっとワクワクする。
「おぅ、わかった、手続きはしてやる……クラン名を考えとけよ」
そう口にすると、ロラン公は立ち上がる。まだティーを出していない。オリーは慌てて「もう出せますが」と声を上げた。
「あぁ、そうだったな、くれ!」
本当に興味がないのだろうな。ティーを頼んだことも忘れていたらしい。
「お忙しいようですので、疲労回復の効果がある薬膳ティーになります」
オリーがカウンター席にティーカップを出すと、ロラン公は「おぅ!」と言って、立ったままカップを煽り、一気に飲み干してしまう。香りを楽しむこともせず、味わえたとも思えない速度。
「うむ! 美味い! ありがとな!」
「ははは……ありがとうございます」
呆れ笑いをしながらオリーが褒め言葉を受け取ると、微苦笑して返事した。まぁそういう反応にもなるのもわかる。
「それじゃあ、またな!」
ニッコリと笑ったロラン公が、片手を上げて挨拶した。それからすぐに、出て行ってしまった。
私とオリーは顔を見合わせて、少しだけ苦笑する。
「……クランの名前の件も合わせて考えねばですね」
「はい……ここが本拠地になるのでしょうから、カフェの名前と同じでもいいですが」
オリーがロラン公に出したティーカップを片付けながら、何気なく口にする。実はまだカフェの名前を考えていない。なかなかこういうのは考えるのが難しくて、良い物が出てきていないのだ。それに加えてクラン名まで。もしやオリーはちょっと面倒になってきているのでは。
「……ふむ」
とは言えネーミングセンスがない以上、二つも良い名前を出すのは難しい。私はオリーの言葉を否定できなかった。しょうがないのだよ。
思考するために沈黙が流れた所に、カフェの入口をノックする音が不意に響く。来客だ。一音一音丁寧なノック音。それほど急いでいるようではないから、緊急事態ではないだろう。少し安心しつつ、出迎えるために席を立つ。




