時には信念を曲げる事も必要
「お金など……と言いたいところですが、有るにこしたことはありません、ですが、依頼を受けていないですがそれでも報酬は頂けるのでしょうか?」
「はい、ファングボア討伐の依頼があれば、その依頼の報酬がもらえますし、無くてもモンスターの素材は買い取ってもらえますので」
事後承諾で依頼を受けたことにできるのは、ありがたい。
「別の依頼で来た時に、別のモンスターに襲われて仕方なく倒したのに報酬に繋がらないと、冒険者の方々は怒るんですよ……それに依頼が存在していて、それを受注されていないままクエスト達成されてしまうと、依頼金が宙に浮いてしまいますし」
確かにその宙に浮いた依頼金を返してしまったら、依頼金をキチンと支払った依頼主にとっては不公平になってしまうし、だからといって全部返していたらギルドが立ち行かない。
「なるほど、理解しました、素材を取りましょう……ですが」
素材を取るためのナイフもなければ、仕舞っておくための鞄もない。何せ私は裸同然だから。
「素材を入れる場所なら私のマジックバッグに入れておきましょう」
おぉ、ファンタジー道具来た! しまった。ついキャラ設定が。
「ですが、ナイフは持っていないので」
オリビアが、申し訳なさそうに呟く。そして、私の手に視線を向けた。
「ミケさんは爪を使えないんですか? さっきは木の棒で戦っていましたが」
あれは、私の主義であって、爪を使えないわけではない。レイピアで戦うのが紳士である。
「先ほどというか、今もですが、私の目指す姿に爪の様な野蛮な物を使いたくないだけと言いますか……しかし今はそれを曲げるべき時でしょう」
信念も確かに大事だが、時にはそれを曲げる柔軟さも紳士のあり方である。
「す、すみません」
オリビアが謝ったが、私はそれに対して微笑むだけに留める。それでなぜかオリビアが少し頬を赤らめた。まぁいい。
「それでは参りましょうか」
私は両手から爪を出す。
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