少年
少年がどんどん先へ進んでいき、京たちを離していく!
「なんだあいつ速すぎるだろ!?」
少年は高校生の京や大人である手越より足が速く、京たちは追い付けそうにない。
「グオオオオオオオオオ!」
少年を見失いそうなところで、洞窟の奥底から化け物の声が聞こえてきた!
「おい!?」
「またさっきの化け物か!?」
京たちは角を曲がると、そこには先ほどの少年と、化け物が対峙しているのが見えた。
「……」
少年は緊迫した様子だ。
化け物はじりじりと少年の方へ近づく!
「ッ!!」
少年は咄嗟に走り出し、化け物の横を抜けようとする!
化け物は少年を捕まえようと、爪を伸ばし、少年の体へ突き刺そうとする!
少年はそれを避け、化け物を突破する!!
「あのガキ…!足で突破しやがった!!」
少年はそのまま洞窟の奥へ進んでいく!
化け物は少年を追っかけていく!
「どうするの!?」
「どうするもこうするも追っかけるしかない!」
京たちも少年と化け物を追って奥へと走っていく!
「はッ……はッ…… なッ!?」
少年が走っていく先にまた別の化け物がもう2体たたずんでいた!
何とか少年は2体の隙間をかいくぐり、突破しようとする!
しかし、化け物の手の爪は少年の足を突き刺し、少年はその場で倒れてしまう!
そして少年はカギを落とし、そのカギを化け物が拾い上げる。
後ろから遅れて京たちが少年や化け物たちに追い付く!
「化け物が増えてるぞ!?」
「あのままじゃあの子やられちゃう!」
愛海が前を出る!
「待て愛海!あそこに行ったらお前も殺されちまうぞ!」
京が愛海の手を取り、引き留めたが、背後から手越が京たちを通り過ぎ、
化け物へ向かっていく!
「おっさん!?」
「うおおおおおおおお!!」
手越は化け物を盾で殴り倒した!
「大丈夫か!?」
少年は足を押さえながら何とか立ち上がる。
手越は少年の前に立ち、盾を構える。
目の前にいる2体の化け物は爪を伸ばし、手越達を突き刺そうとする!
しかし、そこに京の鉤爪が化け物たちにぶち当たる!
京は遠方から鉤爪を投げていたのだ。
「速く走れ!おっさん!!」
化け物たちは怯み、その隙に手越たちは走り出す!
手越たちは京たちのもとへ追い付く。
化け物たちは起き上がり、京たちを追いかける!
「はッ…はッ……もう…限界」
「頑張れ愛海!追い付かれちまうぞ!!」
「どこか…どこかに隠れるところがあれば……」
「そうだ!さっきの小さな洞穴!」
京たちは先ほどの3つの分岐点のエリアに出る。
「こっちだ!」
京は奥にある小さな洞穴へ向かう!
先ほど愛海が見つけた小さな洞穴だ。
手越たちも京に続いて、その洞穴へ向かう。
そして一同はその洞穴の奥に身を隠した。
「……」
洞窟内に足音がどんどん近づいてくる。
先ほどの化け物たちも京たちがいるエリアに入った。
「こっちへ来るな…こっちへ来るな」
愛海は目を瞑ってお祈りをしている。
化け物たちは立ち止まり、周りをキョロキョロする。
2体の内1体は右の道へ進んでいき、もう1体は京と愛海が来た崖の方へと走っていった。
化け物たちの足音が遠のいていく……。
「どうやら去ってくれたようだ」
身を潜めていた一同は小さな洞穴から出る。
「おい!クソガキ!!お前のせいでカギが奪わたじゃねーか!」
京は少年に向かって罵倒する。
「うるせえ!!」
「なんだと!?」
「やめろ京。もう過ぎたことを言っても仕方がな。」
「だってよ…」
「京。落ち着いて」
「なんだよ愛海まで…そのガキに肩を持つのか?」
「この子が悪いかどうかじゃなく、今はどうやってカギをとり返すかじゃない?」
「…そうだけどよ」
手越は少年の前に立つ。
「少年」
「うん?」
「名前は何て言うんだ?」
「……宇月ウルハ」
「俺は手越徳頑。それからこの女の子が愛海」
「そしてさっきから喚いているのが京」
「よろしくな」
手越は手を伸ばし握手を求める。
しかし、少年は手を下ろしたままだ。
「何で俺を助けた?」
「何でって……そりゃあ子供が襲われてたら大人は助けに行くもんだ」
「……」
「ウルハ。君がカギを俺たちから盗んだことは許そう」
「その代わりにだ。俺たちと協力してくれないか。」
「…何?」
「ウルハ。このゲームは1人で突き進むには困難だ。だから力を合わせて障害を突破したい」
「一人より四人いたほうがいいだろ?」
少年はうつむき、しばらく考え込む。
そして顔を上げ、口を開く。
「…わかった。でも」
「でも?」
「俺の足だけはひっぱるなよ?」
「なんだとクソガキ!?」
背後から京が叫ぶ!
「落ち着いて京君!!」
「あはははは!わかったわかった。君の足を引っ張らないように頑張ろう」
「じゃあよろしくなウルハ。」
手越はもう一度ウルハに手を出し、握手を求める。
「……」
ウルハは無言で手越の手を取り、握手をする。
「クソガキ!!今度あんな邪魔するような真似をしたらボコボコにするからな!」
「京!!相手は子供だよ!!」
ウルハはツカツカと歩きだし、京の前で立ち止まる。
ウルハは顔を見上げ、京の顔を見る。
「何だよ」
「お前嫌いだ。」
「なんだと!?」
京がウルハに手を上げようとしたところ、愛海がウルハの前に立つ。
「京ダメだよ!!」
「ッ……」
京は諦めて振り上げた手を下ろす。
「くそお……ガキはいいよなあ」
京はぐぬぬと言わんばかりに手を下ろし大人しくなった。
「俺からしたら君もガキだがな」
手越がぽろっと言葉を漏らす。
「っていうかよ!おっさん、なんであんなガキを助けたんだよ!?」
「京。君が怒るのもわからなくもないが、俺にはウルハぐらいの小さな子がいるんだ」
「ウルハを見ていたら助けたくもなるよ」
「でもよ~…」
京は何か腑に落ちない様子だ。
「君もいずれ子供ができればわかるさ」
「手越さん。お子さんいるんだ」
「ああ…今頃何をしているのか」
手越は明後日の方向を向き、顔を上げる。その様子はどこか遠くを見ているようだった。




