2-13 明水の友達(初めて)
「秋月様ってかっこいいですね」
「そうですわね」
前、隣のクラスだった人が話してるけど、今度は大丈夫だと思う。
(らとちゃん、りたちゃん、もう大丈夫だよね?)
『多分』
(だって、話しかけられてないし、話しかけてないもん)
「すまない、ちょっといいか」
…………話しかけられちゃった。
【フラグが立った】
(ふらぐがたつって何?)
【絶対こうならない! って確信したことが起こること】
『明水、りたとじゃなくて、秋月様と会話した方がいいんじゃない?』
(そうだった!)
「あ、はい」
「その、俺のせいでいじめられたと父から聞いた。すまなかった」
「あ、大丈夫です。むしろ、わたしの父が陛下のところに押しかけたと聞いてます。そっちの方が申し訳ないくらいです」
「そうか。ちなみに、なぜいじめられていたのだ?」
「秋月様大好き組のせいです」
「え? 今、なんて?」
「秋月様大好き組のせいです」
「その秋月様大好き組とは、何だ?」
「秋月様のことが大好きな人です」
「そんな人、いないと思うが……」
「いますよ! 前のクラスでは半分以上の人が、好きでしたよ」
「そ、そうか」
【あ、照れてる。家族に、あんまり構ってもらえなかったタイプかな】
『りた。静かに』
【はーい】
「とにかく、わたしは大丈夫なので、気にしないでください」
「わかった」
「後、話すのは必要最低限にしてください。また誤解されたら、大変ですので」
「そうか」
よかったー。
皇族と話すのって、すっごく緊張する。
『明水、お疲れ様』
(言葉遣い、間違ってなかったかな?)
【大丈夫だと思う】
(そっかー、よかった)
「明水様、少しよろしいですか?」
「あ、はい」
クラスの人に話しかけられた。
また、何か言われるのかな。
「わたくし、明水様とお友達になりたいのですけれど、よろしいでしょうか?」
「と、ともだち?」
「えぇ、お友達になってくださいませんか?」
「うん! いいよ」
「ありがとうございます」
やった!
友達ができた。
「あの、名前を教えてください」
「わたくしは、公枕桃李ですわ」
「桃李ちゃんだね。よろしく」
「よろしくお願いします」
『よかったね、明水』
(うん!)
「明水様。よろしければ、今日のお昼を一緒に食べませんか?」
「うん、一緒に食べよう」
「はい!」
「あ、それと、様付けじゃなくていいよ」
「でも、わたくしは子爵家ですよ?」
「学校の中だけでいいから! お願い!」
「じゃあ、明水さん、よろしくお願いします」
「よろしく!」
※※※※※※※※※※
「明水さんは、何を食べるのですか?」
「うーん、どれにしようかな? 桃李ちゃんは?」
「わたくしは、お魚のフライにしようかと」
「じゃあ、お肉を食べようかな」
「でしたら、こちらはいかがでしょう?」
「美味しそう。これにしようかな」
「わたくしの、お気に入りのメニューの一つなんです」
「そうだったんだ」
やっぱり、誰かと一緒に食べるのって、いいよね。
「そういえば、明水さんは、何のクラブに入られるのですか?」
「わたし? わたしは、魔法実践クラブと、攻撃突出クラブだよ」
「運動が、お好きなのですか?」
「うん、じっとしてるのが苦手なの。桃李ちゃんは?」
「わたくしは、茶道部に入ろうと思っています」
「茶道部?!」
茶道部って、確か、ゆう先輩がいたはず。
名前なんだっけ。
ゆうおう? みたいな名前だった気がする。
「茶道部に、勇往先輩っている?」
「はい、いらっしゃいますよ」
「その先輩、どんな感じ?」
「とても優しい、いい先輩です」
「そうなんだ」
やっぱり、戦闘になると人って変わるんだね。
りたちゃんも容赦なかったし。
「ゆう先輩は、魔法実践クラブだと、ちょっと怖いんだよね」
「そうなのですか?」
「うん。でも、努力家らしいよ」
「勇往先輩は、いい先輩ですね」
「そうだね。あ、ご飯食べる時間、もう少しで終わっちゃう」
「急いで食べないとですね」
※※※※※※※※※※
「部活だ〜」
部活、久々だな。
はやく、動きたいな。
「あ、めいめいー」
「めいめいが来たの?」
「……久しぶりだな、明水」
「はい、お久しぶりです、せい先輩、てつ先輩、ゆう先輩」
「うん、久しぶりー」
「今日から、本格的にやっていくから、よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
今、桜先輩はいないのかな?
桜先輩、攻撃突出クラブにも入ってるから、そっちに行ってるのかな。
「明水、軽く運動するぞ」
「あ、はい」
「どうした?」
「あの、桜先輩って、今いらっしゃいますか?」
「桜は、もう少ししたら来ると言っていた」
「そうなんですね。ありがとうございます」
よかった。
知ってる人が多いと、安心するよね。
「……明水は、なんで桜のことを知ってるんだ?」
「攻撃突出クラブで会いました」
「あぁ、そっちで会ったのか」
「はい」
「めいめいー、ゆうー? 練習始めるよー?」
「あ、ごめんなさい」
「すぐ行く」
今は、他のこと考えてる場合じゃないよね。
※※※※※※※※※※
「あ、明水ちゃん!」
「桜先輩! お久しぶりです」
「うん、久しぶり」
「先輩、今日はこっちで部活なんですか?」
「うん、こっちにも顔を出しとかないとね。新入生が来てるし」
「そうなんですね」
毎日交互に行ってるのかな。
わたしも、そんなふうにしようかな。
「そういえば、桜先輩は、強いんですか?」
「ううん、あんまり上手じゃないよ」
「いや、桜は強いぞ」
「え?」
「そうだよー。もう、やばいくらいに強いよー」
桜先輩、それだけ強いの?!
ゆう先輩とせい先輩が強いっていうなら、すごくやばいんじゃないかな。
……怒ったら怖そう。




