2-2 皇子様のかっこいいところ
ふわぁ。疲れた〜。
『お疲れさま、明水』
【おつかれ〜】
今日は秋月様に怒られちゃったからね。気をつけないと。らとちゃんとりたちゃんとしゃべりたい。ここは部屋の中だし、声を出してもいいよね。
そういえば……。
「ねえ。らとちゃん、りたちゃん」
『何?』
「わたしはなんで辺境から来たから"野蛮人"って言われてるの?」
『明水。それは気にしなくていいよ』
「でも……」
『気にしたらだめだよ』
な、なんか言い方が怖い。こういうときは反論したらだめなんだよね。めっちゃ怒られるから。今日は入学式だけから、疲れることないな〜、とか思ってたけど、精神的にすごい疲れた。ちょっと学校に行くの、ゆううつだなぁ。
『明水、ちょっと外に行ってくるね』
「何で?」
『らと、今までずっとかばんの中にいたから、学校をちゃんと見れてないの。だから今のうちに見ておこうかなって』
【それならりたも行きたい。明水、行ってきていい?】
「うん。いいよ。でも、何に変身するの? うさぎ?」
【うさぎは怪しまれる気がする】
「じゃあ、何になるの?」
『らとは、鳥がいいかなって思ってる』
【いいね。りたも鳥にしようっと】
『じゃあ、いってくるね』
「うん」
今のうちに荷物片付けしとこっかな。
※※※※※※※※※※
『ただいま〜』
あ、戻ってきた。
「おかえり。楽しかった?」
【えぇっと、それが……】
「どうしたの?」
【明水をいじめてる人に遭遇した】
えっ? わたしをいじめてる人?
「どんなこと話してたの?」
『確か…………
「あの辺境から来た、えーっとめー…………めーす? は自分の立場をわかっていないようね」
「えぇ。本当に」
「全員仲良くなるというのは、わたしたちとも仲良くしたいということ?」
「馬鹿な人もいたものね」
「何故、王都周辺の貴族と辺境の貴族の学校を分けないのかしら」
って話してたよ』
「なんで……」
『ひょっとして、怒ってるの? 意外』
「なんで、あの人たちは人の名前を覚えてないの〜!!」
『【え、そこ?】』
らとちゃんとりたちゃんは、不思議そうにしてるけど、わたしは許せない!
なんで、自己紹介したのに、名前覚えてないの!
【やっぱり、明水ってちょっとずれてるよね】
『まあ、明水らしいけどね』
話題になった人の名前くらい覚えておいてほしい。
『そういえば、あの人たち皇子様のことも話していたよね』
【えーっと、秋月様だっけ……?】
「うん。秋月様だよ」
【その秋月様については、"かっこいい"とか、"趣味がすてき"とか言ってたよ】
「そうなんだ」
『明水は?』
「? 何が?」
『明水は秋月様について、何か思わなかったの?』
「うーん、ぱっと思いつかないな……」
秋月様は確か、魔法がすごくて、読書が好きで、うるさいのがきらい。
『やっぱり興味ないんだ』
「あっ!」
『どうしたの?』
「魔法がすごいって聞いたことがあるから、魔法使ってるところは見てみたいかも」
【かっこいい、とかは思わなかったの?】
「うーん。特に思わなかった」
そもそもかっこいいって思うところは人それぞれだからね。
でも、
「魔法がめっちゃすごかったら、かっこいいって思うかもしれないなぁ」
『まあ、そうなるよね』
【だね】




