1-2明水の魔法
わたしが手をかざしたすいしょうが、にじいろに光っている。
らとちゃんはおどろき半分、よろこび半分ってかんじ。
わたしはわけがわからなくて、ただぼーっとしてた。
「ら、らとちゃん。これって…」
『えーっと、本当は明水に話したいんだけど…どうしよう?』
らとちゃん、なんか迷ってるみたい。
どうしたのかな?
『……よし、やっぱり明水にはちゃんと言うか』
「何を?」
『あのね、驚かないでね』
なんだろう?
すっごいまほうがつかえるとかかな?
だったらうれしいんだけど…。
『実はね、明水は全ての魔法を使えるの』
全てのまほう?
「え〜〜〜!! らとちゃん、ほんと?!」
『本当だよ』
「えっ。てことは、水も火も風も雷も土もっ! それから、光や闇もぜ〜んぶ使えるってこと?!」
『そう言うこと』
すご〜い。
わたしってそんなにすごかったんだ!
あ、そういえば、この前本で"月のまほう"っていうのを見たんだよね。
あれも使えるのかな?
「あのね、らとちゃん。月のまほうってー」
『明水!!』
「何?らとちゃん」
『明水、ちょっとこっち来て』
なんだろう?
らとちゃんどうしたのかな?
『明水、今からいうことは決して誰にも言わないでね』
「うん!」
『まず、……う〜ん、らとのことから話そうかな。まず、らとは本当は妖精』
「ようせい?」
『そう、絵本に出てくる浮いてて魔法使う生き物』
「あ〜、あれか」
『それでね、月の魔法っていうのは妖精が編み出した魔法なの』
「………!!」
おどろきすぎて、声もでないよ。
それにしても、ようせいってすごいんだね〜。
『月の魔法は時間をあやつれて、時間を戻すことも、進めることも、止めることも、全部できる魔法』
ひょっとして、月のまほうってとってもべんりなのでは?!
『でも、それを聞きつけた人間の王様が妖精を捕まえることにしたの。そのせいで人間は時をあやつって、悪いことをし始めた』
ご先祖様って実はかなり悪い人なんじゃ?!
普通はちがう種族をつかまえないのに!
『そこで妖精は大幅に数が減っていって、それと同時に月の魔法の存在を隠そうとしたの』
「でもっ、本にはのってたよ?」
『それは、ずうっと昔の本なんじゃないかな』
そんな…。そんなことが…。
『だから、月の魔法のことをむやみに人に話したらダメだよ。そんなことをしたら明水まで利用されちゃう』
「うん、気をつけるね」
あれ?でも、ふつうにおとうさんやおかあさんもよんでたんだけど…。
「ねえ、らとちゃん。おとうさんとおかあさんもよんでたけど…」
『もしかしたら、その本は月の魔法が使える人しか読めないとか…』
「そうなんだ。よかった〜」
もし読めてたなら、おとうさんとおかあさんも月のまほうがあるってことを知っちゃうもんね。
『でも、どうしよう…』
「何をなやんでるの?」
『杖のことなんだけど…』