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買い物に行きましょう

ゲームが女性でも一般的に楽しむようなくらいに身近になった近未来、クラスメイトに紹介されてVRゲームを始めた少女小瀬春香が、ゲームの中でオロバスという名前のプレイヤーと知り合うことで、ゲーム自体の秘密に関わることになり、ゲームの謎に挑みながらゲームの中で強くなっていく近未来系作品。

「とりあえず、ステータスについて聞きたいことがあるの、いい?」

「ステータスですか?」

「メニュー画面から見られるから、レベルだけでも教えてもらえないかしら」

 メニュー画面を開き、ステータスという項目を見つけたので開いてみるとみている視界に左のような数値がたくさん出てくる。


 NAME:スプリ

 LEVEL:1 HP:14 MP:4

 STR:6(+0) DEF:8(+0) MAT:6(+0) 

 MDF:5(+0) AGI:3(+0) INT:8(+0) 

 VIT:7(+0) TEC:7(+0) LUC:4(+0)

 JOB:冒険者 RACE:人間族 ACHIVEMENT:0


ABILITY

・NO ABILITIES


SKILL

・NO SKILLS


「レベルは1ですけれど、後は何を教えればいいですか。みんな6とか7とか低いですけれど」

「そう、だったら大丈夫よ。やっぱり初心者だとそんなものよね」

「はい。あと、下に括弧があって0って数字がたくさん並んでいるんですけれど」

「0? あなたもしかして武器の装備もしていないの?」

「ああ、これですか?」

 そう言って私はゲートに渡された背嚢から剣を取り出すとカーミラさんに見えるように見せる。すると、カーミラさんは天を仰ぐように頭を抱える。

「あなた、剣も装備しないでいたの。そうよね、そう言えば最初のチュートリアルの時に剣を装備するチュートリアルとか無いものね」

 そんなに私は変なことをしていたのだろうか、様子を伺っているとカーミラさんは仕方がなさそうにこちらを見てからこう呟いた。

「とりあえず私のおごりで何か武器を買ってあげるから、購買に行きましょう」

「購買?」




「ここがセントシ魔法学園の購買部。レベルや功績数によっていろんな武器や食料品にここでしか買えない衣服なんかを買ってくれるんだけれど、聞いていないわね」

「あ、ごめんなさい。でもここの料理おいしそうで」

 そう言いながら入り口の食品サンプルを眺め話す。

 料理の素材は家畜を使ったものから、モンスターの卵や肉を使ったものまで沢山あるようだが、見た限りだとどれも本物と見間違えてしまいそうなほどに美味しそうである。

 それもそんな料理が背嚢に入っていたお金でも十分に買えそうなくらいに並んでいるのである。

「まあ、ここの料理はリーズナブルだからクエストでも受けたらそのお金で食べに来てみたらいいわ。少なくともただのフレーバー程度の味しかしないなんてことはないから」

「そうですか、楽しみです」

「でも本題はあなたの武器を買う事よ。だから購買部の中のレストランじゃなくってこっち」

 そう言って、カーミラさんは右手側の人のあまりいない場所へと案内してくれる。

「あそこにいるNPCに話しかけるといいわ。」

「はい、わかりました」

 そういうと、私は老婆のような見た目のNPCに話しかける。

「少しいいですか」

「はいはい。お買い求めは何でしょうか。ステータスを教えてくれたら一番良いものを選んであげるよ」

 そういうので、私は自分のステータスをおばあちゃんに教える。すると、おばあちゃんが足元をごそごそと探り始めると一本の杖を取り出してくる。

「柿の木の杖だよ。お値段は400ゴールド。これならあなたでも買えるんじゃないかな」

「じゃあ、それにします」

「はい。ありがとうね」

 私は柿の木の杖を受け取ると、カーミラさんのところに戻る。

「やりましたよ。カーミラさん。私ちゃんとお買い物出来ました」

「うーん、そのくらいは誰でも出来るからそんなに喜ばなくてもいいんじゃないかなって思うけれど、まあ良かったわ。これからは自分のステータスと見比べながら上昇値のいい武器や装備品を選んで自分で買うのよ」

「はい」


「あれれ、カーミラじゃん」

「本当だ、万年クローバーから卒業出来ないでいるカーミラだ」


 そんな会話が聞こえると、遠くから二人組のプレイヤーがやってくる。二人とも軽装の鎧に身を包んでいて、腰には銀色に光る剣を帯刀している。

 腕にはたくさんのブレスレットがじゃらじゃらと装備されていて、一見するとチャラ男である。

「なんですか、あなたたち」

「行きましょう、スプリさん。構っても仕方ありません」

 私が二人組に反論しようとした時、それを遮るようにカーミラさんが止めてそのまま二人の脇を私と一緒に通り過ぎようとする。

「おいおい、逃げようとするなよ」

「俺達と話をしてくれたっていいじゃないですか」

「あなたたちと話すことなどありません」

「いやいや、そっちはなくたってこっちはあるのよ」

「教会の洗礼にどうして俺たちを来られなくしたのか説明してくださいよ」

「あなたたちは神の洗礼を侮辱しました。それは神の教えに背く行為であり、聖神教への反逆です。そんなあなた達に洗礼の加護を与えることなどありません」

「は、フレーバーにそこまで忠実になるともうそれはいっそ面白いな」

「やっぱりこいつプレイヤーじゃなくてNPCなんじゃねえの」

 ゲラゲラと笑うこの人たちに私が怒りを覚えていたが、私の手を抑える人がいた。

 カーミラさんである。

 誰が何と言おうとも、正直この二人の言っていることは悪いことだと私は思う。だというのに、カーミラさんに止められているということは、私が出ないほうがいいという事である。さっきも私が何か言おうとしたところを遮られたというのもあるし。

 悔しい。どうしてあんなにやさしいカーミラさんがこんなに言われないといけないのか。

「何をしているんだ。クローバーが最近洗礼してくれなくなったのってお前たちが原因なのか?」

「あ?」

「なんだお前?」

 一人の学制服を着た男性が話に入ってきたのは。そして、カーミラさんが何かぽつりとつぶやいたのは。

「ハートの名無し」

「え?」

「何?」

「じゃあこいつが、噂のハートごときに補欠で入ったって奴か」

 すると先ほどとは打って変わって、というよりカーミラさんの場合以上に笑いながらその割り込んできた人を嘲笑する。

「何しに来たのさ、俺たちの話に入ってきて」

「邪魔者は帰ってくれませんかね」

「いや、俺も洗礼を受けたい一人なんだ」

「なんだって」

「じゃあ俺達と仲間だな?」

 肩を組むようなポーズで仲間に入れようと、なれなれしく触れ合おうとする二人に対してその男性は手を振り払い拒絶の意思を表明する。

「いや、そいつは違う」

「ああ?」

「お前達のせいで洗礼が受けられないというのであれば俺はお前たちの仲間じゃない」

「なんだと」

「こんな場所で戦うとNPCに捕まる。ちゃんと競技場に行こう」

「っち」

 三人が私たちを置いてどこかに行ってしまう。


初投稿です。つたない文章ですが読んでくださるとうれしいです。休日の定期投稿を続けていきます。遅れたりした時は察してください。


追記:祖父の家の庭の草むしりをしたのですが、ごみ袋があんなに山盛りになるほどに草むしりをすることになるとは思いませんでした。大変だった。

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