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まずは名前を決めるところから始めましょう

ゲームが女性でも一般的に楽しむようなくらいに身近になった近未来、クラスメイトに紹介されてVRゲームを始めた少女小瀬春香が、ゲームの中でオロバスという名前のプレイヤーと知り合うことで、ゲーム自体の秘密に関わることになり、ゲームの謎に挑みながらゲームの中で強くなっていく近未来系作品。

 一人の少女が新しくその世界にやってくる。

外見は茶色の髪にショートヘアーである。

 少女がその黒い目を開いたとき、広がっていたのは一面に何処までも広がる草原だった。

 そこがゲームであることを忘れてしまいそうなほどに自然な風景に、私は感嘆の声を上げる。

「うわぁ」

初めて見る鮮やかな世界に、私は目をキラキラとさせた。

「これがバーチャルゲームかぁ‼」

 青々とした自然と、風になびく草むら、小鳥たちのさえずりが遠くに聞こえて、花の甘いにおいもする。

 私が始めたゲームは『Only Sense Online』というⅤRゲームで、魔法の世界をテーマにしたものだ。学校のみんなとの話についていくために買ったゲームだが、これならもっと早く知っておくべきだったととても思う。

 これは確かにはまるのも納得できるものだ。

「んん、いいにお……」

『やあ、初めまして』

「うわぁ!」

 中空に前触れもなく表れた妖精に、私は驚きの声を上げる。足元の花のにおいを嗅いでいただけなのに目の前に、それもびっくりするほど大きいものに視界を遮られてしりもちをついた。心臓もバクバクと動いている。

そんな私のことはお構いなく、一方的にその妖精は話を続けてきた。

『僕の名前はゲート。よろしくね』

「ちょっと、いきなりあらわ……」

『早速で申し訳ないけど、君の名前を教えてくれないかな?』

 そして目の前にキーボードが現れて、『ここに名前を記載してください。これがゲームをプレイする際の名前となります』なんて表記と共に記入欄が点滅している。

 チュートリアルというやつか。

「こんな一方的に進めなくても」

 愚痴を言いつつも、私は自分の名前を記入する。


『小瀬 春香』


『プレイヤーネームが本名である場合、個人情報が流出する原因となります。万が一事件に発展したとしても、刑事民事問わず当社はサービスとして危険性を十分警告したものとし、責任を一切負いません。大丈夫でしょうか? YES/NO』


「駄目だよ!」

 目の前に現れた警告画面に対して、慌てて私はその名前を消す。そりゃそうだ、個人情報流出はゲームでは良くあったみたいだし、みんなこれを言っていたんだ。私はきっとやらかすって。

「教えてくれるのはいいけど、何か嫌だな」

 この警告画面の文面、さっきから妖精がずっと繰り返して喋っている。

 さっきまで元気いっぱいな男の子みたいな喋り方をしていたのに、突然機械音声で喋りだされて早速気分が萎えそうである。途中までゲームを忘れそうなほどいい感じだったのに、突然そんなことをしないでほしい。

「じゃあ、これならどうだ」


『この名前は既に使われています。他の名前に変更してください』


「なんで⁉ 駄目なの⁉」

 ゲームで使えない名前何てあると思わず、私は素っ頓狂な声を上げる。妖精を掴もうとするが、タッチパネル以外触れないのか空振りをしているばっかりで、疲れるだけだと悟る。

「スプリでいいか……」

 その名前を打ち込むと、今度は成功して最初の警告画面が出る。最後にYESを押すと画面は消えて、妖精がくるりととんだ。

『スプリ! いい名前だね!』

「やかましい!」

 電子音からまたさっきの元気な声に一瞬で戻って、いい加減この妖精が煩わしくなってきた。なぜこいつはこんなにこっちに話を合わせようとしないのか。

『次に、君にプレゼントがあるよ』

 そして妖精が手を合わせて空に掲げると、ポンッ、と茶色の袋が現れた。

「背嚢?」

『それが、今君が持てるアイテムを入れる袋だよ。中を見てみて』

 いわれるがまま袋を開けると、中には剣とか食べ物そしてお金らしきものも入っていた。

『アイテムは画面右のメニュータブからも見られるよ。親指を手の中に入れて手をまわしてみて』

「親指を中に入れて……回す?」

 試しに右手を反時計回りに回転させると、右目のところにウィンドウが現れてそこに点滅する『アイテム』の欄がある。タップすると、そこにはさっきのアイテムがリストになっていてわかりやすかった。

『閉じるときは、一番下の戻るボタンを押すか、さっきの動作を逆方向にやってみて』

 言われるままに、私は右手を時計回りに回すとウィンドウがすべて閉じた。

「なるほどわかりやすい」

『わあ! 大変だ!』

 妖精が突然そんなことを言い出したかと思えば、その視線の先には身の丈より大きそうなイノシシの姿が、それも二匹もある。本能的に私は引きつった顔をした。

 あれは今の私では倒せない。

 あれは私より強いと気が付いた。

 あいつは私を殺そうとしている!

『スプリ、ここは危険だ! 逃げよう!』

「もう! なんなのよ!」

 言われるまでもなく、私は急いで今いる丘を駆け下りる。


初投稿です。書きだめしないと書けないので、定期投稿を頑張りますが投稿頻度が遅れたり、何かあったりしたら察して温かい目で見守ってください。


追記:オロバスという女主人公ちゃんとは別の主人公がいるのですが、初登場がワード換算で17ページ分程後なんですよね。なんでそんなに後の登場にしちゃったんだろう、前書きにも書いたくらい重要なキャラなのに。

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