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ある夏の日 2020 夏  作者: 倉門 輝光
2/2

女子の足のケアとは

妹の足がポロポロになっていて慌てた。そして足の角質パックを知り初体験をする。

 妹の足がボロボロになっていた。 


 「おまえ!どうしたんだ、それ!?」


 「あ?ああ、これ?全然だいじょぶー」


 「大丈夫って、そんなに皮が剥がれてボロボロじゃないか!両足とも!!病院に行かなくて良いのか!?」


 まるで蛇の脱皮のように足の皮が所々ベロンと剥けている。

 大丈夫なはずがあるか!平気な顔でアイスを食っているが、痛みはないのか?


 俺は、伝染るかも知れないなどと思う暇もなく大慌てで、背負って病院に連れて行かねばと、その前に保険証やら車の鍵やら財布を用意しなければと周りを見てキョロキョロした。


 そんな俺を呆れたように見ながら妹が言う。


 「大丈夫だって。怪我でも何でもないからさ。角質パックやったの!」


 角質パック?何だそれは…?


 「先週末にあたしビニールの袋履いてたじゃん?」


 む。そう言えば、変なビニールを足につけて歩いていたな。


 「あれがさ、角質パックってやつなのよ。あれやると5〜7日で足の裏の皮がベロンと剥がれてツルツルになるの。ちょうど昨日辺りから剥けて来てさ、今ピークに差し掛かってるとこ。明日か明後日には殆ど剥けてツルンとしちゃうから平気〜」 


 「そんなものがあるのか…?」


 「前にママもやってたじゃん。あたしも3回目だよ。ああ、前は冬にやったから靴下履いてて見えなかったかも。兄貴もやってみれば?硬くなった角質が全部取れるよ」


 「マジか…」


 「やるなら一回分余ってるよ」 


 「いや、いい。でもまあ、大丈夫なら良かったよ」


 そう言いながら、俺は脱皮中の妹の足をしみじみ見つめた。すごい剥け方だ。ちょっと気持ち悪いが言ってはならぬ。

 気持ち悪い等と言ったら、そのまま蹴りを入れられるだけだ。


 それはそうと、怪我ではないと安心したら好奇心が顔を出す。恐る恐る聞いてみる俺。 


 「…ちょっとどこか剥いていい?」


 「いいよ、この辺は結構一気に行けると思う」


 かかとの辺りを指さされ、俺は既に剥がれている箇所をつまんでそっと引っ張った。ほとんど何の抵抗もなく、つーっと剥ける。しかもかなり広範囲に剥けたぞ。多分4cm角くらいの大きさ何じゃないのか? 


 「すごいな」 


 「でしょ。足の裏丸ごとベロンと行く人もいるらしいよ」


 「す、すごいな」 


 「やってみたくなったでしょ」


 ニヤリと妹が笑う。くっ、そんな事はないぞ。俺は別に…。


 「いや、いいよ」


 そう言って、俺は部屋に戻る。そして早速ネットで情報を拾い始めた。

 何故に剥けるのか。グリコール酸・サリチル酸・乳酸等を利用しているのだという。そう言えば、前にαヒドロキシ酸(AHA)入の石鹸で顔を洗うとさっぱりするので好きな石鹸だと思ったが、アレ系か。

 体験者の閲覧注意という写真を見て「うぇぇ」と呻いた。

 そして決めた。


 「やろう」 


 階下に行くと、ソファでゴロゴロしていた妹が、俺が何か言う前にニヤリと笑って「はい、どうぞ」と一回分のパックを差し出した。

 くそう。読んでやがったな。


 黙って受け取り、パッケージを空けて角質パックのビニールを履いた。やり方は調べてあるので知っている。このパックは足のサイズ30cmまで対応のやつだ。俺の足でも大丈夫。


 黙々と履いてテープで留めている俺を見て、「やり方、調べたんだ」とニヤニヤしている妹。

 ああ、その通りだ。俺は調べた。だって興味津々だったんだもん。 


 薬液に足を浸し、少しするとピリピリして来た気がする。


 「なんか少しピリピリするな」


 「ああ、あたしは平気だったけど、そう感じる人もいるかもね」


 これはサリチル酸を使っているのかもしれないな。乳酸だけの物の方がなんとなく優しそうな気がする。次はそれにしてみよう。


 そのまま1時間、薬液に足を浸けて過ごす。そして風呂場で脱いで洗い流して終了だ。

 これで、数日後には硬くなった角質が剥け始めるという。ちょっと楽しみだ。 


 早くて3日、通常は5〜7日で剥けてくるとの事だったが、俺は翌日の夜には親指辺りが剥けて来たぞ。

 ベロンと剥けたのではなく、何というか親指の腹の皮が全体に浮いたような感じだ。洗って拭いた後も何となくピリピリする気がしたから、薬液が強かったのかも知れないな。中々デリケートな俺の足よ。


 そんな事を思いながら親指の腹の白く浮いた皮を見つめた。

 そのまま放置するべきだったのかもしれないが、つい好奇心で破いて剥いてみる。


 おおおおおおおおお。


 痛かったらどうしようと思ったが、恐ろしく抵抗なくつーっと剥けるぞ。

 どうやら適度な厚みの角質が早めに剥けるようだ。かかと等は厚みがあるのでまだしっかりしている。下手に触らず自然に浮くまで待とう。 


 妹が俺の足を見て驚いている。


 「嘘でしょ!もう剥け始めてるの!?なんだ、お前の足!」


 「さっき、ちょっと親指の腹を剥いちゃったんだけどさ、あとは自然に任せて放置して置こうと思っている」 


 「それがいいかも。あたし、最初に面白くて剥いてたら、後でちょっとヒリヒリしたもん」 


 「面白い物が世の中にはあるんだなあ」


 「ママなんか、半年に一回は必ずやってるよ。サンダルになる前はこれやっとかないと。あ、でも、最後の方は靴下履けよな」


 「なんで?」 


 「最後の方は細かい皮がポロポロ落ちるんだよ。お前の皮を家の中で散らして歩くなよ」


 「…わかったよ」 


 なるほど、これは確かに靴下を履く季節にやるべきものかも知れない。

 しかし、本当に面白いものがあるもんだ。これから数日かけて俺の足は脱皮をして、そしてツルンツルンになるのだろう。楽しみだ。実に楽しみだ。 


 ああ、使用前の写真を撮っておけば良かった。取り敢えず1日目の記録を撮っておこう。

 

 これ、ブログとか書いちゃおうかな。

 それともツイートしちゃおうかな。


 面白いので内藤にメールしよう。


 ふふふ。


 絶対あいつもやりたがるはずだ。

 

 仲間を増やしてやるぞ。 



 


内藤くんはやったことがあるそうです。

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