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第九話 ダンジョン

 あれから俺たちは城を離れ、ダンジョンへ向かう為にガンリグオンを三人並んで歩いていた。


 ドロシーはようやく肩の荷が下りたような表情で、周りの街を見渡し村では見られなかったものを見て目を輝かせていた。


「いや~ほんとありがとね! 話合わせてくれて。ようやくあたしも初めてのダンジョンに行けるよ~!」


 手を合わせ俺に感謝を述べるカルネス。

 たわわな胸がそれに合わせて揺れる。


 俺はこのイベントを絶対に成功させてやると心に誓っていた。



「大丈夫さ、俺もそろそろダンジョンに行きたいと思ってたところなんだ」


「そうなんだ! じゃあちょうどいいね!」


 俺たちはドロシーとの出会いや、今までの冒険の事をカルネスに話しながらガンリグオンを出てフィールドへと出向いた。



  ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼



「え~っと、確か地図ではこの辺りだな~」


 俺は古びた地図を取り出し、今来た方角を指でなぞりながら照らし合わせていった。

 ガンリグオンを出て東に少し行ったところだ。

 あたりはまだ草原が広がっており、所々に丘がある。


 その丘の一つに、不自然に盛り上がっているところがあった。


「あの丘とかそうなんじゃないか?」


 俺はその丘を指差すと、二人は一目散に走っていった。



「うひょー! ついに初めてのダンジョンよー! あたしの実力見せつけてやるわー!」


「わーい! だんじょんってなんだ!? 楽しい所だといいなー!」


 カルネスは右腕に付けた小さな盾を振り回しながら、ダンジョンの方へと走っていく。

 カルネスは王女だ。

 きっとダンジョンの危険性について何も知らない。


 ドロシーはドロシーでダンジョンについて何も知らなそうだ。

 大きな杖を両手で抱え、カルネスについていっている。

 無理もない、田舎の村で育った一人の少女だ。ダンジョンに縁なんてあるはずもない。


 俺は村で鉄鉱石を取りに行くのに岩のダンジョンに少し言ったことがあるくらいで、場数は踏んでいない。



「お、おい待てよ!」


 俺は二人の後を追って、ダンジョンの入り口まで到着した。




 こんもりと盛り上がった丘の裏にはダンジョンの入り口がぽっかりと口を開け、十段くらいの階段が下に続いていた。


「いいか、こっからは命の危険があるんだからな? みんなしっかり離れずに着いてこ――」


「おっさきー!」


 俺が言い終わる前にカルネスはダンジョンの階段を勢いよく降りていった。

 軽やかな身のこなしで瞬く間に十段の階段を降りると、その先へと姿を消していった。


「お、おい! 先に行くなって!」


 俺の声はダンジョンの響き、消えていった。

 俺とドロシーが入り口で様子を伺っていると、すぐに奥からカルネスの叫び声と走る音が聞こえてきた。



「いいいいやぁぁぁぁぁぁ! リーン助けてぇぇぇぇぇぇぇ!」



――ドドドドドドドド!



 カルネスの後ろには三体のスケルトンが骨を掲げながら全速力でカルネスを追いかけていた。

 都市で俺をハメた仕返しだと言わんばかリに俺は、カルネスが階段を全部上がりきるまでカルネスの無様な姿を目に焼き付けた。


「ちょっとおおおおお! 早く助けてよー!!!」


「もう、仕方がないなー」



――ジャキィィィン! バラバラバラ……



 俺は短剣をスケルトンに振るうと、一匹が地面に崩れ去った。


「ドロシー、行けるか!?」


「言われんでもやってやる!」


 ドロシーは緑色の魔法陣を正面に展開し、スケルトンに複数の風の弾を放った。


「ブラスト!」


 これはそこそこの威力で、二匹のスケルトンはバラバラになって地面に散らばった。



「おお! ドロシーやるじゃないか! 大魔法よりそっちの方がいいんじゃない?」


「い、今のは大魔法なのだが!? バカにしているのか!」


 杖を両手で握りしめ、顔を赤くしながら反論してきた。

 完全に地雷を踏んだ。ドロシーの攻撃は全て大魔法だということにしておこうと、俺は目をつむり心に刻んだ。



「はぁ、はぁ。何とか助かったわ! 三人のチームワークのおかげね」


 全速力で逃げてきた後に十段の階段を一気に登り、息も絶え絶えで汗を拭きながらカルネスは達成感に満ち溢れていた。


「なーにがチームワークだ! だから俺たちと一緒に進もうって言ったじゃねーか!」


 俺は冒険に出てから一番のツッコミをした。

 カルネスはまた舌を出してごまかしている。


「次は助けてやんね~ぞ~」


 俺はカルネスの息が戻ったのを確認すると、再びダンジョンを下へと降りていった。

 いったいこの奥には何があるのだろうか。





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