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第十一話 スケルトンキング

「とりゃぁぁぁぁ!」


 カルネスは盾を構えいきなりスケルトンキングに突撃していった。



――ガイィン!



 スケルトンキングの刃こぼれした大きな剣がカルネスの盾へと当たる。

 カルネスが今使ったスキルは盾を魔法で増幅し、拡張して防御範囲と防御力を増やすというものだった。

 小さな赤い盾の周りに厚さ3cmほどの薄紅色の膜が直径1mほどに伸びる。


 その膜に剣が当たると、スケルトンキングは弾かれよろけた。



「カルネス! 一人で行くな! 危ないぞ!」


「だ、だって……!」


 カルネスはこちらを振り向き、焦った様子だ。

 何をそんなに焦る必要がある。

 俺たちは今パーティだ。ちゃんと連携すれば難しい相手でもないはずだ。


「カルネス! ちゃんと動きを合わせるんだ! 俺たちは今パーティだろ!」


 俺の一言に振り返ったままのカルネスは少しにやけていた。

 あれ? 俺またなんか余計な事言っちゃいました?


 するとスケルトンキングが振り返ったままのカルネスに再び剣を振り下ろしてきた。


「危ない!」



――ギィィィン!



 俺は咄嗟に短剣でスケルトンキングの攻撃を防いだ。

 咄嗟の出来事にエンチャントしている暇はなかった。


「ドロシー! カルネスの後ろから魔法で支援してくれ! カルネスはスケルトンキングの気を引いてくれ! 俺がその間に攻撃をしかける!」


「私に命令するでない! い、今そうしようとしていたところだ!」


「わ、わかったわよ!」


 俺は的確に二人へ指示を出した。

 二人とも俺の指示を聞いてくれて、きちんとした陣形を取ることが出来た。


「私の大魔法を受けてみよ! ハリケーン!」


 ドロシーは得意の()魔法でスケルトンキングの周りに心地よい風を送った。

 カルネスはドロシーの援護に回ってくれており、振りかざされた剣を自慢の盾で防いでくれている。

 俺はその間に短剣にエンチャント付与・炎を施した。



――ジュワァァァ……



 短剣はこの距離でも熱を感じることが出来た。

 少し炎が漏れ、刃が少し長くなっている。

 これならスケルトンキングの足くらいならぶった切れそうだ!


「いくぞぉぉぉぉ!」



――ガシャァァァアン!



 俺はスケルトンキングの足目掛けて思い切り短剣を薙ぎ払った。

 すると炎が骨に当たりいやな臭いを発しながら、熱で溶けて両断した。


 土煙を上げながら倒れこむ敵目掛けて、俺はすかさず頭に短剣を振り下ろした。


「でやああぁぁぁ!」


 俺の振り下ろした短剣はスケルトンキングの頭を溶かし、そのまま亀裂が入り粉々になった。



「や、やったぁぁぁ! やるじゃないリーン!」


「か、勝ったのか! 私たちは勝ったのか!?」


「あぁそうだ! みんなのお陰だよ!」


 俺たちは無事スケルトンキングを討伐することが出来た。

 この三人の連携の賜物だ。


 俺は討伐した証にスケルトンキングの赤い宝石の着いたネックレスを持ち帰ることにした。


「よし、じゃあ報告しに帰ろうか」



  ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼



「おお、無事帰ったかカルネス! 心配しておったぞ!」


 ルーフレッドは立ち上がりながら俺たちの帰りを喜んだ。


「これ、ダンジョンのボスモンスターの素材です」


「これはスケルトンキングのものか。なかなかやるようだな」


 俺は赤い宝石の着いたネックレスを渡した。



「カルネス。ダンジョンに行った感想はどうだ。もうこりごりか?」


「ううん! すっごい楽しかった! また行きたい!」


 カルネスは大はしゃぎでダンジョンでの出来事を話していた。

 まるで子供が遠足で楽しかったことを報告しているようだった。




「ふむ……お前はこの二人と共に冒険へ出たいと」


 カルネスは俺たちと共に冒険へ行きたいと言い出していた。

 駄々をこねるカルネスはちょっとやそっとじゃ止まらない様子だ。


「俺たちは構いませんけど……」


「そうだな……カルネスは一度言い出したらおさまらんからな。お前たちはなかなか腕がいいようだ。うちのカルネスを任せてやってもいい」


「ほんと!? ありがとう父さん! 絶対面白い話持って帰ってくるね!」


 なんとカルネスは俺たちの仲間になった。

 王女が仲間になるとは、俺は思ってもいなかった。


「じゃあ行こうか。カルネス」


「うん!」


「やれやれ、私が世話してやるからな」


 ドロシーはなぜか上から目線でカルネスに話していた。

 きっと世話されるのはドロシーの方だろう。


 俺たちは三人、ルーフレッドに見送られながら城を後にした。



  ▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼

 


「それにしても、なんであんなに焦ってたんだ?」


 俺はスケルトンキングとの戦闘中にカルネスがやけに焦っているように見えたのだ。


「ええっと……実は来月、城のお見合いがあるんだよね。もし城に居たらそのまま結婚させられちゃうから、なんとしても結果出して城を出たかったの」


「お姫様も大変なんだな~」


 俺とドロシーは全く縁のない話についていけなかった。


 


 その後俺は一度村へと帰る決断をした。


 俺の読んでいた本をもう一度読んでみたいのだ。

 その本の通りにイベントが起こっているのならば、きっと何かヒントがある。

 

 俺は夜のうちに家へと忍び込み、その本を取りに行くことに決めた。




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