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希望が見えない未来 3


 私は無意識にそこへ眺めた。それは十二歳ぐらい少年で、身長は目測で、私より高い。少年の目つきは、私を不快にさせた。なぜその目が嫌いなのか分からない。

 少年は冷ややかな顔で言った。「なぜうちの家に、君のような妖怪がいる?」

 妖怪?

 私が妖怪じゃない、人間だ。と答えたいが、数年来話したことがないので、話したとたん、言葉にならない変な声が出てきた。

 「妖怪奴!すぐに家から出て行け!そうしないと、簡単に終われないぞ。」少年は私にそう言った。

 私は苦笑いしている。私もここから出たいけれど、全然出られない。

 それに、一応ここも私の家もあるね?もし私が間違えていなかったら、私もここの名義上の小旦那のはず……

 ちょっと待って!このちびはここは自分の家だと言ってた?

 彼をもう一度よく見たら、やっと分かった。このちびは私の弟じゃないか?名前は王啓明だそうだ。

 だからこの目はこんなに嫌い。

 彼をじっと見ている時に、彼は不思議なスピードで私の前に来て、胸に一撃を加えた。巨大な怪力によって打ち飛ばされ、後ろの木のドアに当たって、部屋のドアが四分五裂した。

 血を咳ながら、信じられないほどこのちびを眺めている。

 どうしてこんなに強いか?これはもう人間のできる範囲ではないよね?

 その恐ろしい少年が一歩ずつ自分に向かって歩いてきている。私はもがいて起き上がって、急いで手を振って許しを求めている。

 「はあ……犬のような醜い妖怪、意外にも知能指数がこんなに高いじゃないか。許しを求めるまでもできる。」少年は口角を上げて、おどけた顔をして、上から私を見ている。

 「でも、勘弁してほしいというのはこういう態度か?見逃したいなら跪きなさい!」少年は地面を指さして、ますます気ままになった。

 昔は、兄は父と同じ。もし兄を弟に跪かせたら、親不孝と同じであること。

 「いくら言っても……私、あなた…の兄で…す……」頭を振って抗議の意を表し、どもりながらこの話を言った。

 しかし、変わりには、弟の平手で私の顔に打った結果だった。

 顔がすぐに浮腫んだ。鋭い耳鳴りの中で、少年は甲高い声で言った:「下賤の妖怪奴が良くも俺を辱めるとは!うちは妖魔を斬る名門で、鎮妖塔を守護する存在である!君のような妖怪奴が俺の兄なんて……笑わせるな!さっさと跪け!」

 私はひざまずいていなかった。腫れた顔が、また手の平で叩かれた結果を迎えた。

 少年の声はさらに高くなり、「跪け!」と繰り返して言った。

 私は跪きたくない、また手の平で叩かれた。

 少年は一声より一声高く「跪け」を言う。一回より一回重くたたくは、私の自尊心を崩した。

 私は……妥協した。屈辱的に跪いて、這い蹲って、臣服を表する。

 少年はまだ満足していないようで、汚い靴の底を私の頭のてっぺんに踏んで、皮肉を言った:

 「妖怪がなんと自尊心を求める?君の自尊心は今俺の足のしたにある。さあー、強情を続けよう?俺の兄を名乗って、報いがこないとおもったか。」

 言う通り、私は自尊がない。私は妖怪、だから見逃しを……

 しかし、少年は私を見逃すつもりはない。私を追い出すつもりだ。

 仕方なく立って、すごすごとこの部屋を出たが、まだ二歩も歩いていないうちに、蹴り飛ばされた。少年は私に言った:「妖怪のくせに…人の様に歩くな!」

 犬のようにしかない。這って進むしかない。そして、結界にぶつかった瞬間、強大な電流がもう一回私の全身を通した。

 苦しくて、死にそう……

 私は哀願のまなざしで少年を見ている。

 少年は顎をつまんで、好奇心に駆られながら私を見て、独り言を言った:「おかしい……なぜ結界があるか?うちはまさか妖怪を閉じ込めている。だから母がこちら辺に行かないで、俺に何回も言うか。」

 私は全身青煙が立って、心の中はしようがない気持ちを満たしている。少年の次の行動は予測できない。

 心の中で黙々と祈るしかない。

 お願いだから、これ以上をしないで。

 しかし……現実は私の望みに及ばない。彼は何回も何回も、私を結界にぶつからせて、体が痙攣して地面に倒した私を見て、腹をかかえて笑う。

 その笑い声はナイフのように耳障りである。

 私は……もう起き上がる力はないが、彼は相変わらずしきりにまとわりつく。何回も足で私を蹴って、私を起き上がらせた。

 私もう……妥協したのに、どうして何度も私を苦しめるのか。

 どうして……

 彼は私が本当に起き上がれないのを見て、得意姿でここから去った。

 私はこの弱々しい体を支えて、壁の隅にもたれている。手を目の前に伸ばして、この弱々しい体を見ていて、自嘲的な笑いが出た「弱い体のくせに、こんなに重い怪我をして、まだ死んでいないか。もしくは……私が本当に妖怪かもしれない……」

 ……

 翌日、私はまだ重傷者としてベッドに横になっていて、冷たい水を顔にかけられた。

 私はぶるぶる震えて、冷たい水に刺激されて、ぷんぷんと目を開けて、似たような二人の少年が見えた。私の弟がまたここにきた。更に従兄弟の兄も呼んできた。

 私の体に掛けているぼろぼろで、冷たい水に濡れた布団を彼らに引っ張られて、地面に投げた。

 そして自分も、そのぼろぼろ布団のようにベッドから引っ張られて地面にされた。

 王啓明はそのベッドを踏みつぶし、機嫌が悪くなった顔で:「へー、妖怪もベットに寝る?おかしいよね。妖怪が汚い床で寝るべきだ!」

 「そうだね。このような馬鹿な顔を見て、人にいじめたくなる。」従兄弟の弟が私を足の下に踏んで、私の体で靴を磨き続ける。

 君たちこのように……天罰が当たるぞ!

 このように叫びたいが、もっと辛い仕返しが怖くて。だから卑しい姿で地面に横になって、足のしたに踏まれることになった。

 「家族は妖怪狩りを行かせないから、こいつを先に訓練してみようか」王啓明は恐ろしい提案をした。

 「いいね」私の体を踏んだ王小明は、頷いた。

 私は少し不安になった。妖狩り?まさか私を妖怪のように狩るか。

 私に深く考えさせない、王小明は指を鳴らして、上から下にいる私に向かって言った:「十秒をさしあげようか。この十秒をうまく使って逃げよう。10……9……」

 体の凝りを気にせず、急いで起き上がって、外に飛び出したとたん、後ろの逆数えが……7から直接ゼロになった。

 灼熱の波が私を吹き飛ばし、巨大な氷柱が空から降りてきて、私を地面にたたきつけ、土に沈んだ。

 二人の弟は、おどけた顔で私の前に来て、私を嘲笑した:「この妖怪は愚かだね。逃げてもいいと信じられたか?」

 「次は俺。」王啓明は隣で言った。

 「待って。まだ終わっていない。」王小明は言い終わると、厳粛な顔で私の鼻を指して言った:「邪悪な妖怪奴!焼き殺しや略奪は悪行の限りで、今日は君を鎮妖塔に封じ込める。」

 鎮妖塔?

 そこまでする必要か?

 私、この世界に生まれてから、悪いことを何もやってない。大きい動物も殺したことがない。蚊を少し殺したぐらいだけだ。

 王小明の次の動作が、やっと分かった。彼らは……ままごとをしているだけだ。私は彼らの手の中のおもちゃだ。彼らに丸められて、平たくして、いかなる抵抗もできない。

 反抗すると、彼らの暴力を迎えるだけだから。

 王小明は両手を出して、印を結んだ。符文が次々空気の中に現れ、その後透明な鎖になって、私を巻き付けた。これらの符文を知っている。これらの符文からできた鎖が、本物の鎮妖術……妖怪を鎮圧して、力と動きを封印する術である。

 そして王小明はまた氷を使って塔を作って、私を投げ入れた。

 悪夢はここから始まった。

 彼らは順番に正義の使者を演じて、私を追いかけて逃げられないところまで、それから法術を使って私のような邪悪な妖怪を封印する。

 どのぐらい経ったか分からない。空は暗くなって、彼らも遊び疲れた。満足してここを離れた。

 毎日お昼に食事を届けに来た使用人は、この二人の坊っちゃんが妖怪を退治しているのを見たので、またご飯を持って帰った。

 ドアのない玄関に座って、この散らかった庭を見ていて、心身ともに疲れた。

 部屋に帰って、濡れた布団を拾って、ほこりまみれの布団を弾いたが、どうしてもきれいに弾けなかった。

 私は犬のように、その割れたベッドの上に体を曲げて、その湿った布団をかぶせて、空腹で寝た。

 この後の日、彼らもよく妖怪を退治に来て、私はいつも追われてあちこち逃げ回る。犬のように……

 私は身を縮めて、倒壊した廃墟の中でよけて、彼らの立ち去る後ろ姿を眺めている。

 もし彼らが振り返ったら、怒りと屈辱に満ちた顔をした私が、暗闇で歯を食いしばっているのが見える。

 悔しい……

 恨む……

 私は彼らに勝てないと信じられない!

 絶対に強くなる!

 廃墟から這い出して、弱い体を支えて、圧迫の中で屈んだ腰を少しずつ伸ばした。

 この瞬間、私は新たに自尊を拾った。

 しかし、まだ遠くにいる彼らは何かを感じているようで、振り返ってこちらを見たら、私はすぐに驚き恐れた。急いで隠れた。

 拾ったばかりの自尊がまた地面に落ちて、粉々に砕けてしまった……

 自尊を拾ったと思ったが、結局彼らと向き合う勇気さえもない……


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