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第4話 聖女様と朝のお祈り


 ソフレト共和神聖国にとって、″朝″とは神聖なるものだ。


 女神ソフレトは朝に生まれたとされ、朝は命の目覚めと、それを育む時間でもあるゆえだ。


 また人々を迷わせる夜とは対照的に、朝は人々を導くとされている。


 ソフレト教で朝のお祈りを特に大事にするのは、こう言った背景が隠れているからだ。


「ーーーー」


 彫刻の掘られた大きな柱たちにかこまれた荘厳(そうごん)なる神殿。

 その中央で、数百人を越える人間がつるつるの綺麗な石床にひざをおり、女神へ祈りをささげている。


 俺もまた彼らに混ざり、手を組み、こうべをたれる。


 俺たちの前で、ひとりたたずみ、また俺たちと同じように手を組むのは美しい乙女。【施しの聖女】のクラスをもつ我らが聖女マリー・テイルワットだ。


 ちらっと顔をあげて見る。


 彼女がお祈りや、その他の祭儀のときに着る服は、神官たちが着るものの中でも特別だ。


 無防備さのかけらもない紺色の簡素な布地に、細かな白い刺繍と金属鎧があしらわれたバトルドレスは、マリーが卓越した才能を持つ剣士であることにも起因している。


 俺も剣はまったくの素人でもないが、マリーに比べたらお遊戯でしかない。俺に才能がない、というよりは、彼女に才能がありすぎるのだ。


「……?」

「っ」


 マリーの顔をこっそり見ていると、ふと彼女と目があってしまった。


 聖女モードに入ったマリーは、もう村娘の彼女ではない。


 感情のないような、冷たさは氷のようで、どこか人間味のない無機質な笑顔は、自分たちより高い次元に彼女がいるかのように錯覚させる。


 もちろん、実際はそんな事などなく、いまでも朝寝坊に弱くて、俺をパシリにしたり、よくわからない難癖をつけてストレス発散してきたりする。


 マリーに構ってもらえて嬉しいから、満更でもない反応する俺も悪いかもしれないけど。

 マリーのお願いならなんでも聞いてあげちゃう俺は甘いかもしれないけど。



 しばらくのち。

 朝のお祈りが終わり、集会は解散となった。



「マクスウェル・ダークエコー」

「……ぇ、は、はい」


 マリーに名前を呼ばれた?

 こんなタイミングで聖女モードの彼女に呼ばれるなんて初めてだ。


「朝のお祈りに集中できていなかったようですね」

「……わりと集中してました」


 実際に何度も女神へ、日々のマリーとの幸せな関係をあたえてくれてありがとう、と深く感謝を述べていた。


「いえ、集中してませんでしたよ。わたしは聖女だから、わかるんです」

「いえいえ、聖女様、本当に集中してましーー」


 ーーぺちんっ


 優しい手つきではたかれた。

 ちょっと喜んでる自分が情けない。


 にしても、え? なにこれ、集中してなかったって言わないと先に進めない会話なの?


「マクスウェル・ダークエコー、聖女にはちゃんとお祈りをしていなかった者が手にとるようにわかります」

「……はい」

「ゆえにお祈りの後、集中してなかった者を説教する権利があるんですよ。わかりますね?」

「……えっと、つまり」

「説教です。あなたには説教が必要です。さぁ、こっちに来なさい。集中しない悪いマックス……じゃなくてマクスウェル・ダークエコーには、わたしからみっちりお仕置きをしないといけません」


「お仕置き?」


「……説教の間違いですね」


 こほん、っと咳払いをし、頬を染めて恥ずかしげにするマリー。


 俺は首をかしげ、説教の正当性を問う。


 だが、しかし、聖女様は絶対なのだ。

 ちょっとくらい間違ってるだけでは、その決定に有無を言わせはしないのだ。


「ここで説教するのも、あれですから、わたしの部屋に行きましょうか」

「それは、いろいろ、大丈夫なんですか?」

「うだうだ質問してないで、ついて来ればいいのですよ。……というか、早くついて来なさい、怒りますよ」


 結局、レベル差のあるマリーにひょいっと軽く持ち上げられてしまい、俺は聖女様の部屋で教典を片手に説教を受けることになった。


 すごく……楽しかった。


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