05 身バレ後
クランの正体が都市の面々にばれた事で、ザーフィスの追跡は一旦中断。
その後あいつは、やってきた親衛隊に引き取られていった。
けど、その前に、どうにも宝物をあきらめきれなかったらしい。
クランから正式に奪還の依頼を受けた。
正直、どうかと思ったぜ。
あたしだってザーフィスと同じ盗賊なんだから。
でも、あたしの事は信用できるって言ってきた。
理由を聞いたら「勘かな」だとよ。
何じゃそりゃ。
色々思うところはあるけどよ、結局引き受けちまった。
報酬いいし、王城に忍び込んだことをナシにしてくれるって話もあったから。
あの時、ザーフィスが暴れ回ったおかげで、宝物庫がめちゃくちゃになっちまったからな。
あたしのせいじゃないとはいえ、指名手配されたりしたら孤児院の皆を心配させちまう。
そりゃ、何事もなく宝物かっぱらえた方が一番だったけど。
まあ、これでもありか。
あたしは孤児院にまとまった金がはいりゃそれでいいしな。
宝物盗って捕まっちまったら、その後に恩返しができなくなる。
それじゃやっぱ、困るからな。
別に、あいつにほだされたとかじゃねーぞ。
王族の中にも良い奴はいるのかもな、とかそんな簡単に思うわけないだろ。
って、なにを日記に向かって言ってんだ、あたしは。