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ゲーマー4人組  作者: 鬼雨
大和魂は異世界受けする
9/45

地域活性化を狙う人は大方面倒くさい(偏見)

前回学んだこと

この国のトップは馬鹿だった!




 一旦、小鹿亭に戻ってきたが、小鹿亭だけでなく、周りの建物がまだ壊れている。

 それもそうだ。ヨームと戦ったのは朝の話で、今は昼だ。

 しかし、すでに復興が始まっており、大工たちが忙しなく動いている。

 小鹿亭は一階だけが少し荒れただけなので、まだマシな方だ。まあ、扉が無い分、開放感が増した感じだろうか。

 部屋に戻り、ベットに寝転ぶ。

 腕はまだ治っていないが楽にはなってきている。

 夕飯は作れそうだ。

 カミラは倒された時に頭を少し打ってしまい、大事をとって今日は病院に居る。

 キッチンの使用許可は貰っているので問題ない。

 しかし、ヨームと戦ったせいか、回復に体力を使ったせいか、疲れてしまった。

 今は11時半くらいなので、5時くらいに目が覚めることを祈りつつ、俺はまぶたを閉じた。



 思いの外、体の調子が良いのか、5時半に目が覚めた。

 そして、腕もほとんど治っていた。

 もうギブスは取ってもいいだろう。まだ少しだけ痛むが、料理に支障はない。

 俺は一度キッチンを覗くことにした。

 なかなか広いキッチンで、冷蔵庫に食材もそこそこの量が入っている。


「しかし、何を作るかなー。食べたい物も特にないし……とりあえず、市場を覗きに行ってみるか」


 臨時収入も入ったし、食材を見たら、何か食べたいものが思い浮かぶかもしれない。

 俺は少し離れた市場にやってきた。

 晩ご飯の買い出しをしている人がほとんどで、市場はまだまだ元気だ。

 野菜、果物、肉、様々なものがある中で、俺は、リザードマンが開いている魚屋に目が止まった。

 そして俺は、かなり久しぶりに質の良い鯛に出会った。

 前に食べたのはいつだろうか。記憶が確かなら年末に実家に帰った時以来のはず……

 よし、今晩はシンプルに鯛の塩焼きにしよう。


「すまない、これを頼む」


「この鯛だな……本当に良いのか?」


 リザードマンの店員が思わぬことを聞いてきた。


「悪いのか?」


 って名前まんまかよ。


「いや、人間はあんまり好まない魚だからな。大体は、マグロとかを買っていくものだから、つい。えっと、5シルバーだ」


「ふふ、どんな物も料理次第さ。しかし、安いな……1匹500円とは……せっかくだ、2匹貰おう」

(ここら辺の人は赤身が好きなのか?)


「ん、10シルバー丁度。ありがとう。また来てくれよ」


「こちらこそ」


 なかなか感じのいいリザードマンだ。

 というか、人間以外と話したのは初めてか。

 それにしてもこの上物の鯛が1匹500円とは恐れ入る。

 需要が無い分、安いということだろう。

 ま、こいつの素晴らしさの分からん奴らは哀れだな。

 俺が小鹿亭に戻ると、厄介な馬鹿、もとい、この国の王女が来ていた。


「お! リンタロウ、戻ったか! む? それはなんだ?」


「リョウタロウだ。物覚えの悪い奴だな。これは俺の晩飯だ。これから作る」


「そうか! なら、せっかくだし、私も頂いてもいいか?」


「なんでだよ。城行けば美味い飯なんていくらでも食えるだろう?」


「今は……訳あって戻れんのだ……と、とにかく、頼む!」


 さすがに頭まで下げられたら断りにくいな。


「わかった。そこで待ってろ」


「ふふ、そう来なくてはな!」


「偉そうにするな……実際偉いんだろうけど……作って“もらう”んだからな!」


 キッチンに来た俺は買った鯛をまな板の上に置いた。

 すると、エヴリーヌが料理を見に来た。


「何見てるんだよ」


「減る物では無いんだから良いだろう?暇なのだ」


 とりあえず放っておこう。

 俺はテキパキと動いて鯛を捌いて行く。

 魚の捌き方は実家で爺ちゃんに叩き込まれた。

 今回のは内臓もとられているので、ほとんどやることはない。

 鯛の体に串を刺し、焼いていき、塩を少しだけ振る。鯛そのものの味を楽しむためだ。

 焼いている間に、他のものを作ることにし、古き良き味噌汁……と思ったが、味噌がない。

 そりゃあここは西洋系なのだからあるのはソースや香辛料だ。

 仕方ない、付け合わせとしては非常に納得いかないが、野菜スープにしよう。

 冷蔵庫からいくつかの野菜とベーコンを取り出し、切り、鍋に入れる。

 香辛料を入れ、塩、コショウで味を整える。

 時間をかけないためにジャガイモは省いた。煮えるのに時間がかかるからな。


(あとは……って米ないのかぁ……)


 鯛を選んだのはミスだったか……

 しかし、やってしまったものは仕方ない。保存されていたパンを取り出す。

 皿に、鯛の塩焼きと、野菜スープ、パンをそれぞれ盛り付け、お盆に乗せて出す。

 こんな組み合わせやってるって知られたら爺ちゃんや親父に何されるか分かったもんじゃない。

 

「出来たぞー」


「おぉ!美味しそうだな!いただきます!」


「いただきます」


 まず先に鯛を食べてみる。まあ美味しい。美味しくない訳がない。

 しかし、米がないのが非常に悔やまれる。味噌汁も欲しい。漬物とか、和え物とかも……あー、スープの野菜も美味しいから余計に腹立つ!この野菜で和食作りたかったぁ!

 

「これ本当に鯛か!? こんなに美味しいとは知らなかった。リョウタロウは凄いな!」


「そりゃあどうも」


 俺は今、それどころではないんだ。

 明日、国中探して大豆を見つけよう。そうしよう。


「なあ、まだしばらくここに泊まるんだろ? なら、カミラが帰ってきた後もご飯作ってくれよー」


「はあ?なんで俺が……」


「こう言うとカミラに悪いが、リョウタロウの料理は相当美味いからな! あ、もし良かったら城の厨房で働かないか?」


「図々しいにも程があるだろうが。まあ飯に関しては考えておいてやる。食い終わったんならとっとと片付けろ」


実家の隣人もそうだったが、どうして、こう町内会に入っていたり、政府だったり、国治めてる奴って、どっか面倒な奴が多いんだろうな。



次回、エルフ救助


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