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ゲーマー4人組  作者: 鬼雨
大和魂は異世界受けする
8/45

女と嘘は切っても切れない。

前回学んだこと

ウサギは速ぇ




 今の状況を説明するなら、「ひっくり返っている。」ということだ。

 瓦礫を避け、軋む体を少し起こす。

 骨逝ったかもしれねぇなコレ……

 骨の心配も大事だが、マッチョマンがどうなったか気になる。

 自分が突っ込んだところからマッチョマンを見る。

 生憎、体が痛くて立ち上がれないが、見えないことはない。

 すると、マッチョマンは苦しみ、そのままドロドロに溶けた。

 元のリーダー格の男の形も残さずに。

 それを見て安心して、また倒れる。今は体を動かしたくないのだ。


「大丈夫か!?」


 あー、面倒なのが来やがった。煩くなるぞーこれは。


「待ってろ、今回復を!」


 するとエヴリーヌは回復魔法で俺の体の治療を始めた。


 この世界の回復魔法は、傷を治すというよりは、体の回復力を高めるという感じで、回復魔法を使ったからといって傷がすぐに治るわけではない。

 上位の物になればそうすることもできるが、それを扱える者は限られる。

 ゲーム用語で言うと、「ヒール」ではなく、「リジェネーション」ということで、即時回復か、徐々に回復するかの違いだ。


 エヴリーヌの回復魔法で傷が徐々に治っていくが、初級の物では骨折までは治らない。

 だから、この世界にも病院はあるし、回復魔法を扱う修道院もある。

 折れたと思われるのは右腕と肋骨のはずだ。

 足は動くので、歩くことは出来る。

 エヴリーヌの手を借り、起き上がり、マッチョマンの残骸の中からナイフを回収する。

 ふむ、傷は付いたが、大丈夫そうだ。

 

「なんとかなったな」


 エヴリーヌが少し満足げに話す。


「そりゃあ怪我したの俺だけだからな」


「そういう意味じゃ……」


 エヴリーヌがそう言いかけたところで、思わぬ客が来た。衛兵達だ。


「これは、一体何が……」


 一際装備が充実した騎士が喋る。

 おそらく、衛士長か、それくらいの奴だろう。


「フベルト!」


「エヴリーヌ様!? どうして……」


 エヴリーヌがそのフベルトという衛士長(仮)に駆け寄る。

 ていうか、いま「様」付けだったよな?え、もしかしてあいつって割と偉い人間なのか?

 2人が少し話すと、エヴリーヌがフベルトを連れて俺のところに来た。

 

「リウマロウ、こっちはフベルトで、この国の騎士団の騎士長だ」


「フベルトだ。よろしく」


 と、フベルトと言う騎士長は右手を出したが、俺が右腕を怪我しているのに気付いたのか、すぐに左手に切り替えた。騎士長とか衛士長って嫌な奴ってイメージがあったが、彼の印象は悪くない。

 いや、ゲームで暴れてるからゲーム内の衛士長に嫌われてるだけか?


「よろしく。それと、“リョウタロウ”な。イバラ リョウタロウ」


「すまない。それで、フベルト、彼の治療を頼みたいんだ。“ヨーム”についても話したい」


 ヨーム?マッチョマンの呼び名だろうか。そういえば現世のゲームにそんな名前のボスキャラ居たなぁ。


「わかった。カスト、後を頼む」


「は!」


 カストと呼ばれた男は部下達を率いて、周りを調べ始めた。


「では、リョウタロウ殿、こちらへ」


「あー、呼び捨てで構わない。それと、カミラという女性が向こうにいるんだ。彼女も頼みたい」


「わかった。案内してくれ」


 俺はエヴリーヌ、フベルト、数人の衛兵と共に、カミラを回収し、騎士団の本部に来た。

 本部は王城に近いところにあり、なかなか立派な建物だ。

 俺はそこで腕の治療を受けた。

 骨を元の位置に戻し、当て木で固定したあと、ポーションのような薬を飲んだ。

 看護係が言うには、数時間でくっ付くらしい。


 こちらの薬は多種多様で、ポーションのようなものもあれば、粉薬みたい物もある。

 これらは様々な薬草や素材から作られており、特に、ポーションを作る際は、素材を魔法で調合、合成することにより作るらしい。

 これらは“錬成術”と呼ばれている。

 俺にしてみれば錬成とかそういう言葉を聞くと、某錬金術アニメを思い出すが、世界が違えば言葉の使われ方も違う物だ。


 そして、治療を受けた俺は応接間に通され、そこにはフベルトとエヴリーヌが居た。


「来たな、さあ、座ってくれ」


 フベルトに言われて椅子に座る。


「さて、何処から話したら良いか」


「なら、こっちから質問させてくれるか?」


 フベルトは少しだけ驚いたが、すぐに頷いた。


「まず、アレは何だったのか。それを知りたい」


 フベルトとエヴリーヌは少し難しい顔をして、話し始めた。

 

「少し前だ。ここら辺で、“黒魔石”と呼ばれるものが流通し始めた。それは、得体の知れないドス黒い石で、使った者は、さっきのように変異し、怪物になる。我々はアレを“ヨーム”と呼んでいて、なんとか対処しようとしている」


「私もその為にあいつらに黒魔石を手に入れるよう依頼したが、結果はダメだった」


「無茶なさるからです。我々に任せておけば良いものを」


 場の空気が重くなる。どうやらこの国では黒魔石が割と重要な課題になっているようだ。


「わかった。じゃあ次だが、お前ら2人の関係だ」


 その問いに2人が揃って反応した。

 どうやら予想外のところを突かれたらしい。


「えっと、私たちは、その…幼なじみ! そう幼なじみなんだ。昔通った学園のな!」


「あ、あぁ、そうなんだ」


「嘘つけ」


 俺の言葉に2人が俯き、小さくなった。


「気にかけるわ、敬語は使うわ、あげくさっき様付けで呼んだだろ」


 2人がさらに縮こまった。

 そして、口を開いたのはエヴリーヌだった。


「フベルトが騎士長なのは本当だが、私は……その……」


「なんだ? 貴族か? 裕福なところの生まれか? それとも昔はフベルトの主人だったか?」


「その……王女……なんだ……」


「……」


 部屋を沈黙が支配した。


「頭でもぶつけたか?」


「違う! その……本当なんだ……」


 フベルトの反応からもどうやら本当らしい。

 そんな事実を知った俺の口は言うことを聞かなくなった。


「馬鹿か? 根っこまで馬鹿なのか? 王女だぁ? この国の姫さまだぁ? お前王女とか姫の役割知ってるか? 辞書引いたことあるか? それとも王城で育ったから一般常識ってものが備わってないのか? そりゃあ備わってないわなぁ! 王女なんだからなぁ!」


「リョウタロウ、エヴリーヌにも目的があってこんなことをしているんだ。今は言えないが、大事な目的が」


「目的果たす前に死んだら本末転倒だろうが……」


 この国は割と良い国だと思っていたが、トップに馬鹿が混じっていたとはな。

 深呼吸をして、落ち着く。結構取り乱してしまった。


「ふぅ、まあわかった。口外もしない。その代わり、ヨームを倒した報酬だけ貰う。それで終わりにしよう。な?」


「感謝する。これが謝礼の20ゴールドだ」


「確かに受け取った。あぁ、カミラに会ってから帰りたいんだが、いいか?」


「構わない。俺についてきてくれ」


 カミラと話したところ、小鹿亭に泊まっているのは俺とエヴリーヌだけで、被害は一階だけなので、使って構わないらしい。


嘘をつくときはそれなりに口裏を合わせなければならない。びっくりして嘘がバレるなんてことがないようにな。それが下手なら……何も言えねぇ

次回、ちゃっかり娘



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