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ゲーマー4人組  作者: 鬼雨
日本人は休まない。
40/45

過去が捻れていれば性格も捻れる。

前回学んだこと

リョウタロウの爺ちゃんは武士




「さて、では、まず名前から教えてもらいましょうか」

 

 ディアナが杖を持ちながら仁王立ちしている。

 リョウタロウは吊るされたまま口を塞がれ、おれは正座させられて、尋問が始まった。


「えっと、おれはカザマ ショウ。リョウタロウの幼馴染みです。はい」


「幼馴染み……だけですか?」


 どうやら尋問担当はディアナらしく、ある程度質問は決めていたようだ。


「まあ、色々あってな。親友というより、家族にも近いかな」


「家族というと?」


「かなり仲が良いってことだ。家も隣同士だったし、基本一緒に過ごしてたな。人生の半分以上を一緒にいたと言っても過言じゃないだろう」


「では、再会早々の戦闘はどういうことですか?」


 お、予測していた質問が来た。ここで「実は別世界から転移して来ましたぁ」なんて言えるわけがないので、ある程度バックストーリーは考えてある。


「実は、前は一緒に旅をしてたんだが、事故で離れ離れになってな。リョウタロウはおれが死んだと思ってたらしく、おれの姿をした偽物だと思ったらしい」


「それで許せなくて襲ったと……筋は通りますね」


「半年近く離れてたから話がたくさんあってな。まあ、何も言わずに出かけたのは謝るよ。あいつも死んだはずの友人に会って半分泣きそうになってたから、許してほしい」


 リョウタロウが、「そこまでじゃない」とアイコンタクトしているが、ここは無視だ。

 すると、彼女たちは理解してくれたらしく、武器をしまった。


「理由は把握しました。しかし、リョウタロウさんは明日までそのままということで。ショウさんでしたっけ。出会いは良くなかったですが、よろしくお願いします」


「こちらこそ」


 ってリョウタロウはあのままなのね……本人も諦めたらしいし、まあいいだろう。

 それからは挨拶を済ませて、夕食を食べながら雑談をして、部屋をもらい、就寝した。


 夜中、トイレに起きて、部屋に戻ろうとすると、ある1つの部屋の明かりがついていた。

 どうやら、女子会中らしく、内容はリョウタロウについてだ。

 リョウタロウから話は聞いているが、異世界の人ってこうも惚れっぽいものなのか?まあ、一部の奴は分かるけど、命の恩人だからっていう理由は甘くないか?そんなことで惚れてたら体足りなくなるぞ……

 しかし、リョウタロウがこうして元気に(今は吊るされているが)過ごせていたのも彼女たちのおかげなのだろう。


「あんまり夜更かししてると、体壊すぞ」


「ショウ(さん)!?」


「悪いけど、邪魔するよ」


 女性の輪の中に入るのは得意ではないが、元クラス委員長だし、それくらいはできる。


「それで? みーんなリョウタロウに惚れ込んでる訳だ。故郷じゃそういうこと無かったんだけどな」


「わ、私はそこまでじゃ無いですけど……アリだなぁくらいには……」


「そうなのか? リョウタロウなら、もっと居そうな気がしていたんだが……」


 カミラは接点が比較的少ないからな。リョウタロウも言っていたな。「カミラは最終的に離れるはず」って。それに比べて他5人はかなり脈ありって感じだな。


「王女様、世の中場所が変われば人も変わるものなんだよ」


「エヴリーヌでいい。王女様は堅苦しすぎるからな」


「それは悪い。とにかく、よくもまああんなの好きになるな」


「ふふん、ドラゴンを殺した男だからな! 私の夫に相応しいだろう?」


「本人にその気は無かったらしいけどな。そうだ。この際、少し昔話してみようか」


 それからおれは昔におれたち4人がよく遊んでいたことや、過ごしていたことを話した。

 そして彼女たちの食いつきの良いこと。

 目をキラキラさせながら聞いている。このタイプの女性はリョウタロウの苦手範囲だったなぁ……あいつの性格上、日陰が好きだからな


「まあ、今はあぁいうふうにツンツンしてるけど、それには理由があってな。さっきも話した事故でおれら離れ離れになったのがトラウマでな。あいつとしてはあんまり親しい関係は持ちたくないんだとさ」


 すると全員が俯いた。

 ディアナあたりはこれまでの自分の態度に反省しているかも知れない。

 

「でも、本当はみんなとワイワイしたいとも言ってたな。あいつ変に背負い込む癖あるからな〜旦那にしたら厄介だぞ〜?」


「でも、私の時はしっかり背中押してくれました……」


「リョウタロウって昔人間関係で物凄く悩んだ時期があって、病み期? みたいなときがあって、こう、精神的に苦しんでる人をほっとけないところがあるんだよ。多分コリンナを昔親戚亡くした時のおれに重ねてたんじゃ無いかな。おれもあの時はすごく辛かったし」


 実際、おれの祖父母はもう他界していて、おばあちゃん、おじいちゃん子だったおれは相当気が滅入っていた。


「おれが言うのもおかしいけど、あいつ意外と寂しがりだからさ。突っぱねられても、根気よく付き合ってくれると助かる」


「当たり前だ! あいつは私の夫なんだからな! 一緒の墓に入ると決めているんだ」


「あー、アドバイスすると、執着が強すぎるのは考えものだぞ?」


 ルイシーナ以外が笑った。きっと日頃からとてつもないのだろう。


「さ、おれはそろそろ寝るかな。まあ、リョウタロウのことで悩んだら相談してくれ」


『はーい』


「あ、そうそう、あいつ多分色仕掛けに弱いから、タイミングが合えば意外と簡単に落ちるから、頑張ってみてくれ」


「分かった!」


『は、はーい……』


 ルイシーナ以外は奥手か……まあ普通そうだろうな。とりあえず、今日は寝よう。


 イバラ リョウタロウという男は厄介者だ。

 考え方が他の人と良い方向にズレている。言い換えれば、時代の先を行っているとも言える。

 しかし、大抵そういう人間は毛嫌いされる。周りに合わせない、合わせられないからだ。

 おれや湊人、空成は、「それが良い」と思えたからここまで長く付き合っていられるが、普通の人は違う。

 一般常識と違う=非常識と考える人が多いとおれは思っている。

 きっと、リョウタロウのズレた常識が、異世界のニーズみたいなものにマッチしたのだろう。

 普通、異世界に1人で放り出されて平然としていられる人間なんてそういない。

 

とにかく、おれ“たち”が思っているのは、“つまらない”大人にはなりたくないってことだ。

 

 

次回、喧嘩

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