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ゲーマー4人組  作者: 鬼雨
大和魂は異世界受けする
3/45

大自然に地図やら法律はない。

前回で学んだこと

神様は全くもってまともじゃない




 目が覚めると、森だった。

 そう、あの牧歌的な風景が広がっていて、本当に異世界に来たのが分からなかった。


 改めて自分の服装を見てみる。

 中世の人が着ているような服装に軽装鎧、ベルトには2つのナイフが装着されている。

 よくあるRPGゲームのキャラクターの服装まんまだ。


 しかし、こんな時代の肌着でも、意外としっかりしていることに驚いた。

 ジャージやストレッチジーンズなんかと比べれば、もちろん大したことはないが、科学があまり発展していないにも関わらず、凄いものだ。


「うおっ、筋肉ヤバッ」


 体を軽く動かしてみると、現世の時よりかなり軽く動く。

 おそらくスキルの【3次元機動】のおかげだろう。

 このスキルは誰でもパルクールを極めたかのような動きが出来るようになるスキルで、某忍者漫画ナ◯トみたいに木々の間を駆け抜けられるし、バク宙なんてお手の物だ。


「おーしっかり刃物だな」


 次にナイフを見てみる。

 今回、俺は自分のステータスを盗賊系にしてみた。

 というのも、今までゲームを色々やって来てそういう事をあまりしたことが無かったからだ。

 そういうわけで武器もそれに準じ、ナイフにしてみた。

 刃渡り20センチ程の片刃の少し反ったナイフで、サバイバルナイフに近いかも知れない。これも【3次元機動】のおかげか、手の上でナイフをクルクル簡単に回せる。今ならバタフライナイフの世界大会にでも出られそうだ。


 さてと、チェックはこのくらいにして少し歩いてみるか。

 あたりは木、木、木と木しかない。

 そこで俺は重大なミスに気がついた。


 地図がない。


 つまり、周りに何があるのか分からない。とてもじゃないが、こんな大自然の中で野宿は出来ない。

 そっち系のスキルは取ってないからな。

 となると、まず目先の目標としては、集落を見つけることに決定だ。

 しかし、どうやって見つける?

 闇雲に歩いても意味はないし……道路や標識なんてこの時代には無いし……

 待てよ?道路は無いが、人がいるなら集落間での移動による轍とかはあるかもしれない。

 それを探そう。

 これで、近くになーんにも無かったら、あの女をボコボコにする。

 とりあえず、背の高い木に登って、辺りを見渡してみよう。

 スキルのおかげでスイスイ登れる。

 さらに、これまたスキルの不思議パワーなのか、木の枝に立っても折れない。

 これは中々に便利だ。いつか街を、屋根伝いに走ってみたいものだ。

 と、少し奥に木の生えてないところが見える。

 しかも、一直線にだ。近くに行くと、やはり道だった。とりあえず、あの女をボコすのは保留だ。


 しかし、こんなゲームの世界みたいなところをみんなにも見せてあげたかったものだ。

 今頃どうしているだろうか。

 葬式?遺留品の整理?ご飯はしっかり食べれているだろうか。

 って、心配するところがお母さんみたいだな。

 ちょこっと出た涙を拭い、道を調べる。

 どうやら、割と最近人が通ったらしい。

 何故わかるのかって?

 おそらく、馬車の車輪の跡だろうが、踏まれた跡が他のよりくっきりしている。

 まあ、それだけだからほぼ勘に近いけど、この馬車の後を追えば集落には着くだろう。

 ということで、道に沿って走ってみる。

 今回俺はステータスを俊敏重視で作ったので、足が中々に速い。

 陸上の世界大会なんてちょちょいのちょいだろう。

 その上疲れにくい。

 その分耐久が低いので打たれ弱いのだが。

 

「お、第1異世界人発見かな?」


 しばらくすると、正面の遠くの方に馬車が見えた。

 先程の轍の馬車に違いないのだろうが、あまり状況がよろしくない。

 端的に言えばモンスターに襲われている。

 ぱっと見、おそらくゴブリンという奴なのだろう。

 緑っぽい肌、鋭い牙、民族的な衣装に武器など、一般的なRPGゲームでよく出るゴブリンにそっくりだ。てか、ゴブリンってやっぱり緑なのか……

 護衛の人がいるが、計3匹(数え方合ってるか分からないが)はうまく連携が取れており、今にもやられてしまいそうだ。

 スルーしても良いが、この先馬車に乗せてくれるかも知れないし、助けておこう。

 某世紀末アニメのキャラクターの言葉を借りるなら、


「お前(達)の体で、新秘孔(新しい体)のテストをしてやる!」というやつだ。


 ナイフを2本構え、一番後ろの奴に襲いかかる。

 ゴブリンは突然の襲撃に驚いて反応が遅れたようで、ナイフは簡単に最初の1匹の首に突き刺さった。

 返り血が服に飛び気持ち悪いが、助けた人からクリーニング代は貰えると願い、次に取り掛かる。


 2匹目は未だ驚いて硬直していて、防御の姿勢こそ取ったが、お粗末過ぎる。

 俺はその防御を蹴りで崩し、顎から頭に向かってナイフを突き刺す。


 最後の1匹は驚きの硬直も解け、襲いかかって来た。

 右手に持った棍棒を大きく振り下ろして来たが、一歩下がって回避し、顔を蹴り飛ばす。

 転倒したゴブリン目掛けて飛びかかり、そいつの胸にナイフを突き立てる。

 しかし、ゴブリンは意外と生命力があり、胸に2本ナイフを刺したくらいでは死なず、暴れ出した。

 俺は右のナイフをゴブリンの胸から抜き、今度は頭に突き立てた。

 正直、頭蓋骨を貫通出来るかは不安だったが、なんとかなった。


 人間、慣れとは怖いものだ。

 現世にいる時にFPSゲームとかの中で散々敵や人を殺して来たせいか、あまり罪悪感が無かった。

 現世で命を殺めてもこんな感じになったのかと思うと少しゾッとするが、とりあえず今は人を助けられたという事で安心しておこう。


こんな大自然のど真ん中に法律なんてものは存在しないんだからな。

次回、街というか、国


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